春画ールの「春画の穴 あなたの知らない『奥の奥』」(新潮社:2023年6月15日発行)を読みました。
なんでもモチーフにする春画の世界。
嫉妬、妄想、病に犯罪・・・。
絵画と古典籍から、エロスの下に隠された
時代の空気をひもとく!
喜多川歌麿「願ひの糸口」の序文
伊邪那岐命(男神)と伊邪那美命(女神)が一緒に天上の浮橋に立ち、玉で飾った美しい鉾で大海原を掻き混ぜ、鉾から滴った滴で一つの島が生じたことも、名もなき男女の交合により新しい生命が誕生することも、新しいものを生み出すという点で同じ価値がある。
人間の欲望と想像力は底なし!
「愛欲」だけでは語れない世界がそこにはある
江戸と現代では「淫乱」の意味が違う
極上の女性器・男性器、その条件
三途の川は「初体験の相手」と渡るもの!?
明治期の春画に描かれていたモチーフは……
描かれたのは「わらい」のみにあらず
実は春画には、和合礼賛以外の、当時の価値観が垣間見える作品もたくさんあるのです。そこには江戸期の人々が春画に求めた興奮やわらいの正体も潜んでいます。この本では、春画の知られざるエアポケットについて語りたいと思います。一緒に、その「奥の奥」まで探っていけましたら幸いです。(「まえがき」より)
目次
まえがき
その壱 人のマスターベーションを笑うな
その弐 夫にだけヤリマンな妻の見分け方
その参 嫉妬心にはご注意を
その肆 女学生とエロスの関係
その伍 奥女中の「本当の愛」は絵に残らない
その陸 後家、スケベ旅行記の主人公になる
その漆 看護婦が白衣の下に穿いていたのは
その捌 三途の川で待ち合わせをする相手は
その玖 オンナの性器は第二の顔
その拾 たかが皮、されど皮
その拾壱 そこに血が流れる限り
その拾弐 わざわざタブーを描くわけ
その拾参 王宮の中心で愛を叫ぶ
その拾肆 ファンタジーと現実のアブない関係
あとがき
参考文献
春画ール:
1990年、愛媛県生まれ。学生時代に見た、葛飾北斎の「蛸と海女」で春画に目覚める。市井の春画ウォッチャーの視線で、春画の魅力や楽しみ方を模索する。2018年より「春画ール」の名で活動をスタートし、「現代人が見る春画」をコンセプトに、国内外への発信を続けている。恋愛メディア「AM」にて「令和奇聞」連載中。著書に「春画にハマりまして」(CCCメディアハウス)、「江戸の女性たちはどうしてましたか? 春画と性典物からジェンダー史をゆるゆる読み解く」(晶文社)。
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