井上荒野の「照子と瑠衣」(祥伝社:令和5年10月20日初版第1刷発行)を読みました。
井上荒野の小説は、年々、通俗に傾いてきています。
それにしても痛快な物語です。
「まだまだこれから、なんだってできるわよ、あたしたち」
照子と瑠衣。ともに七十歳。妻を見下す夫を捨て、 老人マンションの陰湿な人間関係を見限って、 女性ふたりの、逃避行の旅が始まった――。 痛快で心震える、最高のシスターフッド小説!
内容説明:
照子と瑠衣はともに七十歳。ふたりにはずっと我慢していたことがあった。照子は妻を使用人のように扱う夫に。瑠衣は老人マンションでの、陰湿な嫌がらせやつまらぬ派閥争いに。我慢の限界に達したある日、瑠衣は照子に助けを求める。親友からのSOSに、照子は車で瑠衣のもとに駆けつける。その足で照子が向かった先は彼女の自宅ではなく、長野の山奥だった。新天地に来て、お金の心配を除き、ストレスのない暮らしを手に入れたふたり。照子と瑠衣は少しずつ自分の人生を取り戻していく。照子がこの地に来たのは、夫との暮らしを見限り、解放されるため。そしてもう一つ、照子には瑠衣に内緒の目的があった―。
井上荒野[イノウエアレノ]:
1961年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。89年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞しデビュー。2004年『潤一』で第11回島清恋愛文学賞を受賞。08年『切羽へ』で第139回直木賞を受賞。11年『そこへ行くな』で第6回中央公論文芸賞を受賞。16年『赤へ』(祥伝社刊)で第29回柴田錬三郎賞を受賞。18年『その話は今日はやめておきましょう』で第35回織田作之助賞を受賞。
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