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「やまとうた」の時代
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100分de名著 目次
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プロデューサーのおもわく
「天の原振り放けみれば春日なる三笠の山に出でし月かも」……誰もが聞いたことがあるこんな和歌で知られる「古今和歌集」。四季の微かな兆しや繊細な移ろい、淡い恋心から燃えるような情念に至るまでの多様な恋模様、祝い事の喜びや愛する人の死への哀惜など人生折々の豊かな情感を詠んだ和歌が1100首も集められている歌集です。日本で初めて編まれた勅撰和歌集を現代の視点も交えて深く味わい、今も昔も変わらない、豊かな感受性、情愛、人間関係のあり方などを学んでいきます。
「古今和歌集」は延喜5年(905年)、醍醐天皇の勅命によって編纂されました。撰者は紀友則、紀貫之、凡河内躬恒、壬生忠岑の4人です。そこには、「万葉集」を理想の古代とみて、その伝統を継承しつつ、新たな和歌の時代を創造しようというねらいがありました。いわば、「仮名文字」の獲得によって、自らが用いる言葉への意識を研ぎ澄まし、それまで公の場で支配的だった漢語中心の文化を乗り越えて、新たな表現活動のうねりを生み出していこうとする文化的な営みの集大成とも見ることもできます。
「古今和歌集」の最大の特徴は、「掛詞」と「見立て」という二つの手法が際立っていることです。「掛詞」は、「秋」と「飽き」、「枯れぬ」と「離れぬ」のように一つの言葉にダブルミーニングをもたせることで、自然と人為を緊密に結び合わせる表現を発達させました。「見立て」は、花を雪と見たり、紅葉を錦と見たりという風に、あるものを別のものととらえてみる表現手法。こうした手法によって現実とは異質な「想像の世界」が切り拓かれていきます。いずれも、その後の日本人の感受性の基盤を形作ったともいえるのです。
番組では、和歌の研究で知られる国文学研究資料館館長の渡部泰明さんを指南役に招き「古今和歌集」に現代の視点から新しい光をあて、現代人にも通じる、言葉を味わうことの喜び、感情や五感を表現することの豊かさ、想像力の広げ方などを学んでいきます。第四回には、作家の高樹のぶ子さんをゲストにお招きし、女性歌人たちの歌の魅力にも迫っていきます。
<各回の放送内容>
第1回 めぐる季節の中で
「袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ」。去年の夏の水の鮮烈な印象、それが凍った冬、そして今日、立春になってその氷がとけようとしている。一首の中に見事なまでに季節の移り行きが封じこめられているのだ。歌人たちはまた、まだ訪れる前の時期に、どうにか「春夏秋冬」を見つけようとする。「古今集」では何よりも季節の「兆し」が大事にされるのだ。当時の人たちにとって季節は探し出したり予感したりするものだった。第一回は、「古今集」成立の背景にも迫りながら、季節の移ろいを見事に映し出した和歌の魅力を深く味わっていく。
第2回 恋こそ我が人生
「命やはなにぞはつゆのあだ物を逢ふにしかへば惜しからなくに」。命、それが一体なんだというのだ、露のように儚いものではないか…いう心の叫び。あなたに会うことができるならば命と引き換えにしても惜しくないという強烈な情念を詠んだ歌だ。渡辺泰明さんによれば、「恋」と「恋愛」は異なる。「恋愛」は男女二人いれば完結するが「恋」はもっと大きな世界をもっている。「恋ひ」とは「乞ひ」であり全身で求め願うもの。時に社会すら動かすこともある。第二回は、「恋」を詠んだ和歌にスポットを当て、平安時代の恋がどのようなものか、またどのような社会的な意味を持っていたのかに迫っていく。
第3回 歌は世につれ、世は歌につれ
「深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨染めに咲け」。心あらばという桜への呼びかけがこの歌の中核だ。心をもたない存在に心を求めるという表現は「古今集」の真骨頂。桜が墨染めに咲くことはありえない。不可能なことを望むのはそれだけ悲しみが深いから。このように「古今集」におさめられた和歌は、人の生死、別離の哀惜、愛する人への祈りなど、人生そのものを深く描く。第三回は、人生の折々に読まれた和歌をピックアップし、人の世の不思議さに迫っていく。
第4回 女の歌は強くないか?
「あはれてふ言こそうたて世の中をおもひはなれぬほだしなりけれ」。言の葉にすれば哀れというただひと言なのに、このひと言ゆえ、もの思いの多いこの世を捨てることもならず、ほだしのごとく人をつなぎ留め、心解き放つこともゆるさない……小野小町の、どんな不条理な出来事もゆるしてしまう限りない「強さ」が現れている歌だ。小野小町の歌は「あはれなるようにて、つよからず」と評されることもあるが、実は驚くほどの「強さ」を秘めている。第四回は、小野小町についての小説「百夜」を発表した高樹のぶ子さんをゲストに招き、小野小町をはじめ名だたる女性歌人たちの歌に秘められた「強さの秘密」に迫っていく。
手持ちの本
新潮日本古典集成
古今和歌集
昭和53年7月10日発行
平成10年9月10日10刷
校注者:奥村恒哉
発行所:株式会社新潮社
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