今井宏平の「トルコ100年の歴史を歩く 首都アンカラでたどる近代国家への道」(平凡社新書:2023年9月15日初版第1刷)を読みました。
建国100周年ということで、タイムリーなテーマです。 著者自身が撮影した写真が多く、文章もわかりやすくて読みやすい。初めて知ることが多く、興味深く読んだ。 トルコの理解が深まり、再訪したいと思いました。
トルコ100年の歴史を歩く
首都アンカラでたどる近代国家への道
2023年10月、建国100年を迎えるトルコ共和国。首都アンカラに滞在する気鋭の学者が見た100年の歴史!
2023年10月、トルコ共和国は建国100年を迎える。世界中の国々を見渡してみれば、まだ若い国ではある。しかし、その地理的な位置や宗教的立場から近年の国際政治・経済の場面でその存在感を高めつつある。
そのトルコの首都は「アンカラ」だ。観光地と知られ、華やかなイスタンブールとは違い、アンカラにはトルコ大国民議会や大統領府や省庁などの政治関連の建物や難関大学などが建ち並び、どちらかといえば地味でお堅いイメージだ。しかし建国の父ケマル・アタトゥルクが眠る廟やケマルの銅像は、トルコの人々の精神的な拠りどころとして大切にされている。また近年、大型ショッピングモールや流行りのカフェやレストラン、欧米資本のホテルなどが数多く建てられ、トルコの経済発展を垣間見ることもできる。一方で、クーデターやデモ、テロが起きた公園や通り、標的となった大学があり、そこには犠牲者を悼む碑などを目にする。つまり、アンカラはトルコの首都であるとともに、トルコの100年の歩みそのものなのである。
本書はアンカラ市内の政府関連施設や博物館、モスクや大学、そして主要交通機関を紹介しながらトルコ共和国100年の歴史を多数の写真とともに読み解くもの。現代のトルコ情勢を長きにわたり調査を行ってきた現地在住の気鋭の研究者ならではの視点満載の1冊。
目次
第1章 西洋化とイスラームのはざまで
首都の構成と人口の変遷、圧倒的な人気を誇るムスタファ・ケマル、西洋化に基づく国家建設の理想と現実、クルド・ナショナリズムなど
第2章 郊外都市への変貌
都市化と住宅問題、トルコの中でも地震が少ない、都市化と飲食業、車の普及と充実したバス網など
第3章 つわものどもが夢の跡
政治家たちの足跡を追って、第二代大統領イスメト・イノニュと「ピンク邸宅」など
第4章 デモ・クーデター・テロの記憶
行政の中心地=政変の中心、アンカラの中心地、クズライでのデモなど
第5章 外交と政策決定の中心地
トルコの地政学的特徴、地政学的特徴に即した外交、外交機関としての外務省と移民局など
今井宏平:
1981年長野県生まれ。2011年、中東工科大学国際関係学部博士課程修了(Ph.D.International Relations)。13年、中央大学大学院法学研究科政治学専攻博士後期課程修了。日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所研究員。専門は、現代トルコ外交・国際関係論。主な著書に「中東秩序をめぐる現代トルコ外交」(ミネルヴァ書房)、「トルコ現代史」(中公新書)、「戦略的ヘッジングと安全保障の追求」(有信高文社)など。
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