東京藝術大学大学美術館で「芸大コレクション展―春の名品選―」を観てきました。芸大のコレクションは、開学以来120年を超える収集活動によって形作られたもので、古美術から日本画、洋画、彫刻、工芸、歴代教員・学生による作品など多種多様な内容を誇り、その数は重要文化財22件を含む2万8500件を越えています。と、芸大は誇っています。たしかにいい作品が揃っています。とくに有名なのは、卒業制作の「自画像」でしょう。今回は安井曾太郎の「男子裸体」「裸婦」が目立っていました。
また、「依嘱制作」として、ありとあらゆる分野、例えば、銅像、梵鐘、刀剣、掛け軸、屏風、仏像、模写・模刻、美術工芸品、模型、神輿、狛犬、古式武具、建築装飾、油絵肖像画、扁額、歌碑、図案、賞牌、徽章、石膏標本、印刷物、写真、等々、総点数18万点を超える製品を世に送り出しています。誇って当然、やはり歴史が違います。またさすがは「官学」、依頼される仕事も一級の仕事です。
ということで、今回の目玉は「修復記念 浄瑠璃寺吉祥天厨子絵」(芸大での登録名)です。以下、いただいたリーフレットによります。正式な名称は、重要文化財「板絵著色弁財天梵天帝釈天四天王像」、もとは京都浄瑠璃寺の「木造吉祥天像」(鎌倉時代・重要文化財)を納めて厨子の扉および背面板でしたが、明治の初めに寺外へ流出し、明治22年に東京美術学校に所蔵されたものだという。
この厨子絵は、厨子の三方の両開きの扉絵6面と、背面板1面の計7面で構成されており、内側は正面扉に梵天・帝釈天、側面の扉に四天王、背面板に弁財天および四眷属を描き、外側は正面扉にのみ竹雀図が描かれています。いずれも木地全面を白土で地塗りした上に墨線と彩色で描かれていますが、近年は板絵の白土層の剥離が目立ち、箱にも金具の欠損や歪みが生じていました。このため、平成19年度より3年間にわたる修復作業が行われ、このたび一般に公開された、というものです。
「芸大コレクション展―春の名品選―」
「浄瑠璃寺吉祥天厨子絵」
「芸大コレクション展―春の名品選―」
このたび、東京藝術大学が所蔵する主要なコレクションを紹介する展覧会を開催いたします。当館のコレクションは、開学以来120年を超える収集活動によって形作られたもので、古美術から日本画、洋画、彫刻、工芸、歴代教員・学生による作品など多種多様な内容を誇り、その数は重要文化財22件を含む2万8500件を越えています。当館では毎年開催されるコレクション展において、この収蔵品のなかの主要作品の一部を展示・公開しております。今年は、古美術、近代美術の各分野の中から、多くのお客様にご好評いただいている作品を精選して展示いたします。いずれも本学のコレクションを代表する名品であり、また本学の歩みを跡づける貴重な資料です。さらに特集展示として「修復記念 《浄瑠璃寺吉祥天厨子絵》」、本学の総合芸術アーカイブセンター企画による「藝大の創成期と依嘱事業」のコーナーを設け、これまであまり出品の機会のなかった作品や資料もご紹介いたします。また、平成23年度に新たに収蔵された作品の一部も公開いたします。
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