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島田雅彦の「時々、慈父になる。」を読んだ!

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島田雅彦の「時々、慈父になる。」(集英社:2023年5月30日第1刷発行)を読みました。

 

 

1983年5月、『優しいサヨクのための嬉遊曲』から40年。
いつまでも自分が主役だと思うなよ。

毀誉褒貶を顧みない作風で絶望の時代を駆け抜けた作家による、
デビュー40周年記念の自伝的父子小説。


目次
第一部「父親の変わり身」
第二部「親バカでない親はいない」
第三部「運命なんて愛したくない」
第四部「後のことはおまえに任せた」


時は1991年、島田雅彦30歳。バブルは崩壊したとは言え、執筆の他にも世界中を旅する仕事が続く中、妻の妊娠が判明する。夫は、子育てに適した新居を探し、子どもの名前を考える。「永遠に実現しない希望」を意味する弥勒菩薩からミロクと名付け、生後間もない頃から世界中へと連れ回し、家族の記憶はいつも旅の記憶。自由奔放に子どもを育てたいと思いながらも、お受験へ。入園式当日に朝帰りをしたのは、父だったからか、作家だったからか。息子が生まれ、世界が一変したはずの作家による自伝的父子小説。

 

 

「慈父」は、いい言葉ですね、という質問に…。

西洋の文学ではオイディプスコンプレックスのように「父殺し」というのが、ひとつの大きなテーマだと思われてきました。でもよくよく考えると父性とか父権というのは、イデオロギーなんですよね。だから更新されるべきものなんです。定年退職してからネトウヨになるような情弱オヤジは論外としても、いまは保守オヤジというのではなく、子どもに価値観を押し付けたりせずに、非常に寛容で、ちゃんとこどもが自分の頭で考えてひとりで生きていけるようなサポートをする父親がリーズナブルだし待望される。以前は外国に出かける機会も多かったので、小説の前半では「別の文化では父親はどうふるまうのか」と各地の父親ぶりを観察して、世界標準の父親像を模索したりしましたね。

作家・島田雅彦はなぜ「自伝的父子小説」を書いたのか? 息子と過ごした年月を語るロングインタビュー【『時々、慈父になる。』発売記念】 - ライブドアニュース (livedoor.com)


島田雅彦:
1961年3月、東京都生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒業。在学中の83年に『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビュー。84年『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞、92年『彼岸先生』で泉鏡花文学賞、2006年『退廃姉妹』で伊藤整文学賞、08年『カオスの娘』で芸術選奨文部科学大臣賞、16年『虚人の星』で毎日出版文化賞、20年『君が異端だった頃』で読売文学賞〔小説賞〕を受賞。主な著書に『徒然王子』『悪貨』『英雄はそこにいる』『傾国子女』『ニッチを探して』『暗黒寓話集』『カタストロフ・マニア』『人類最年長』『スノードロップ』『スーパーエンジェル』『パンとサーカス』など多数。 現在、法政大学国際文化学部教授。

 

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これから読もうとしている本

 

「パンとサーカス」

2022年3月22日第1刷発行

著者:島田雅彦

発行所:株式会社講談社

 

「小説作法XYZ 作家になるための秘伝」

著者:島田雅彦

発行:2022年5月25日

発行所:株式会社新潮社

 

「小説作法ABC」

著者:島田雅彦

発行:2009年3月25日

発行所:株式会社新潮社

 


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