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「柄谷行人『力と交換様式』を読む」を読んだ!

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「柄谷行人『力と交換様式』を読む」(文春新書:2023年5月20日第1刷発行)を読みました。

 

柄谷行人の「力と交換様式」は、ほぼ発売と同時に購入してありますが。難しそうなので、読み始めるに至ってません。そろそろ読まなければと思い始めた矢先に、「柄谷行人『力と交換様式』を読む」が刊行されました。で、まずはこちらを先に読む、ということになりました。もちろん、こちらも難しいことには変わりはありませんが…。

 

絶望的な未来にも〈希望〉は必ずある

1970年代後半から文芸批評家として活躍し、90年代後半からはマルクスやカント、ホッブスの読解から「交換」に着目した理論で社会や歴史を読み解いてきた柄谷行人さん。

その集大成ともいうべき『力と交換様式』では、社会システムをA=贈与と返礼の互酬、B=支配と保護による略取と再分配、C=貨幣と商品による商品交換、D=高次元でのAの回復という4つの交換様式によって捉え、とりわけ資本主義=ネーション=国家を揚棄する、人間の意思を超えた「D」の到来をめぐって思考を深めた。

「Aの回復としてのDは必ず到来する」。
民主主義と資本主義が行き詰まりを見せる混迷の危機の時代、
絶望的な未来に希望はどう宿るのか。その輪郭はどのように素描可能か。
『トランスクリティーク』『世界史の構造』、そして『力と交換様式』を貫く「交換様式」の思考の源泉に迫る。

資本主義、国家を超えた

「交換様式D」とは何か?

90年代はじめ、ソ連が崩壊したときに、「歴史の終わり」という議論が流行りましたが、私はそうは思わなかった。むしろ、歴史は繰り返す、と思った。・・・特に、今世紀に入ってからは、遠からず世界戦争になるだろうと思っていました。・・・しかし、Dが来る。(本文より)

 

そこで私は、最後に、一言いっておきたい。今後に、戦争を恐慌、つまり、BとCが必然的にもたらす危機が幾度も生じるだろう。しかし、それゆえにこそ、”Aの高次元での回復”としてのDが必ず到来する、と。(「力と交換様式」より)


目次
Ⅰ:著者と読み解く『力と交換様式』
・「柄谷行人」ができるまで――「交換の力」を考え続けた60年
・講演『力と交換様式』をめぐって 國分功一郎×斎藤幸平
・モース・ホッブズ・マルクス
Ⅱ:「思考の深み」へ 
・可能性としてのアソシエーション、交換様式論の射程
・交換様式と「マルクスその可能性の中心」
・文学という妖怪
Ⅲ:柄谷行人『力と交換様式』を読む
・柄谷行人はすべてを語った 大澤真幸

・転移D――友・親・店・鬱 東畑開人

・希望の現実化のために 渡邊英理

・「不可能の可能性」の追求 佐藤優、

・霊の力はどこから来るのか 鹿島茂

あとがき

 

「力と交換様式」

2022年10月5日第1刷発行

著者:柄谷行人

発行所:株式会社岩波書店

 

 

朝日新聞:2022年10月20日


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