赤染晶子の「じゃむパンの日」(palmbooks:2022年12月1日発行、2023年2月25日6刷)を読みました。
赤染晶子の芥川賞受賞作「乙女の密告」は、京都の外国語大学でドイツ語のスピーチコンテストに挑む女学生たちの日常と、その課題作である「アンネの日記」の世界が重なり合う物語です。
芥川賞選考委員の作家・小川洋子さんは「乙女の密告」について、「ある区切られた空間の中にある人数の人が集まると、理不尽なことが起きる。大学の教室の中で乙女と呼ばれる生徒たちが二つの派閥に分かれて争い、密告が起こるというのは、アンネ・フランクの身に起きたことに重なる。二つの世界が結びつく巧みな小説」と絶賛していました。
以上は過去に書いた文章からです。「乙女の密告」は僕にはやや難しい小説でした。それにしても早世というか、あまりにも早く亡くなりました。
「じゃむパンの日」は、文芸誌や新聞等に赤染晶子が書いたエッセイ55篇を集めた、初のエッセイ集です。長・短はありますが、他愛もない日常生活を描いたものがほとんど。赤染が生まれ育った京都への想いがいっぱい詰まっています。
本の帯には、
日常を描いていながら、想像が羽ばたき、
ことばで世界を様変わりさせていく。
ここに生きている人たちがいとおしくて、
読んでいると、不思議と気持ちがあたたかくなる。
初のエッセイ集にして、マスターピース。
赤染晶子:
1974年京都府舞鶴市生まれ。京都外国語大学卒業後、北海道大学大学院博士課程中退。2004年「初子さん」で第99回文學界新人賞を受賞。2010年「乙女の密告」で第143回芥川賞を受賞。2017年9月永眠。著書に「うつつ・うつら」「乙女の密告」「WANTED!かい人21面相」がある。
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