川上未映子の「黄色い家」(中央公論社:2023年2月25日初版発行)を読みました。発売と同時に、本屋で平積みされていたのを購入しました。なにしろ600ページもの長編、自分に読めるかどうか心配しましたが、あにはからんや、読了しました。
川上未映子の小説は、芥川賞を受賞した「乳と卵」以来、気にかけていて少しづつ読んではいました。最近、世界中から翻訳のオファーが来ているという、652ページの文庫本、長編「夏物語」を読もうと思ってなかなか読み始めるに至らず、積読になりそうでした。その前になぜか「黄色い家」を一気に読むことができました。
なにしろ「圧倒的に緻密な筆」、これには参りました。
とはいえ、この小説の高尚な批評は僕には無理というもの、以下、本の帯に書いてある文言でお茶を濁そうと思います。
善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!
2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶――黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな”シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へと向かい・・・。
人はなぜ、金に狂い、罪を犯すのか
孤独な少女の闘いを
圧倒的スピード感と
緻密な筆であぶり出す
ノンストップ・ノワール小説!
目次
第一章 再会
第二章 金運
第三章 祝開店
第四章 予感
第五章 青春
第六章 試金石
第七章 一家団欒
第八章 着手
第九章 千客万来
第十章 境界線
第十一章 前後不覚
第十j二章 御破算
第十三章 黄落
川上未映子:
大阪府生まれ。2008年「乳と卵」で芥川龍之介賞、09年、詩集「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」で中原中也賞、10年「ヘヴン」で芸術選奨文部科学大臣賞および紫式部賞、13年、詩集「水瓶」で高見順賞、同年「愛の夢とか」で谷崎潤一郎賞、16年「あこがれ」で渡辺淳一文学賞、19年「夏物語」で毎日出版文化賞を受賞。他の著作に「すべて真夜中の恋人たち」「春のこわいもの」など。「夏物語」は40カ国以上で刊行が進み、「ヘヴン」の英訳は22年国際ブッカー賞の最終候補に選出された。
朝日新聞:2023年3月1日
朝日新聞:2023年3月4日
「夏物語」
文春文庫
2021年8月10日第1刷
2022年5月25日第8刷
著者:」川上未映子
発行所:株式会社文藝春秋
(未読です)
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