日本経済新聞(ネット)によると、
「読売文学賞に佐藤亜紀さんら」と題して、
第74回読売文学賞(読売新聞社主催)が2月1日付で発表された。
各賞の受賞者は次の通り。(敬称略)
【小説】佐藤亜紀「喜べ、幸いなる魂よ」(KADOKAWA)
【戯曲・シナリオ】山内ケンジ「温暖化の秋―hot autumn―」(上演台本)
【随筆・紀行】沢木耕太郎「天路の旅人」(新潮社)
【評論・伝記】尾崎真理子「大江健三郎の『義』」(講談社)
【詩歌俳句】藤井貞和・詩集「よく聞きなさい、すぐにここを出るのです。」(思潮社)
【研究・翻訳】鷲見洋一「編集者ディドロ 仲間と歩く『百科全書』の森」(平凡社)〔共同〕
よく見ると【評論・伝記】部門に尾崎真理子の「大江健三郎の『義』」(講談社)が入っていました。読売新聞は取ってないので、ニュースを入手するのが遅れました。
それにしても、大江健三郎の解説や評論については、最近はほどんどがこの二人、尾崎真理子と工藤庸子、女性です。尾崎真理子「大江健三郎の『義』」を、さっそくアマゾンで取り寄せました。三冊並べてみると壮観です。
関連記事:
過去の記事を見ると、本が届いた、とだけしか書いてありません。
つまり、積読、読んでいないことが判明、お恥ずかしい。
というか、この記事は読んでないことの単なる言い訳、にしかすぎません。
というか、この三冊を読むための叱咤激励か?
これがブログの記事と言えるか?
「大江健三郎の『義』」
2022年10月18日第1刷発行
著者:尾崎真理子
発行所:株式会社講談社
謎だらけのポストモダン小説の先駆『同時代ゲーム』はなぜ書かれたのか。自伝的要素の強い『懐かしい年への手紙』に登場するギー兄さん、『燃えあがる緑の木』の新しいギー兄さんは、なぜ「ギー」なのか。大江健三郎の全小説を精読し、柳田国男の影響を確信した著者は、大江と柳田の深い関係を探っていく。しかし、大江の謎は柳田のみならず、『万延元年のフットボール』と島崎藤村『夜明け前』との類似点へと行き着き、いつしか不思議な親和性を持つ文学者のつながりは平田篤胤へと辿りつく。これまで海外文学の影響下において読み解かれてきた大江健三郎文学に、深く根を下ろした日本文学の伝統とは一体何か。大江研究の第一人者が読み解く、知的好奇心に満ちた快著!
「大江健三郎全小説全解説」
2020年9月15日第1刷発行
著者:尾崎真理子
発行所:株式会社講談社
新聞記者として長年大江健三郎を取材してきた著者による、わかりやすい大江健三郎入門書。『大江健三郎全小説』(全15巻)を通して書かれた解説を一冊にまとめる。大江健三郎全小説のあらすじから説き起こしつつ、個々の作品発表当時の文芸批評家による主要評論に言及、その作品がどのように受容されてきたかを論じる。またときに作家へのインタビューを引用しながら作品の意義を明らかにする。大江文学がどのように生まれ、どのように読まれ、さらにこれからどのような研究課題がありえるのかを総合的・俯瞰的に論じた大江評論の決定版。
「大江健三郎と『晩年の仕事』」
2022年3月22日第1刷発行
著者:工藤庸子
発行所:株式会社講談社
ノーベル文学賞受賞後、大江健三郎ほど多くの、そして並外れて優れた傑作を書き続けた小説家はいない。いったい、この底知れない創作力の根源には何があるのか。大江文学に魅了されたフランス文学者が、「女たち」の声を手がかりに、精緻な「読み直し」で大江=世界文学の先見性と深淵に迫る、力作長篇評論!
発表以来一度も書籍化されたことのなかった「政治少年死す」を含む入手困難な小説群を収録、さらに詳しい解説を付した全集決定版。
1957年に大学生として瞠目のデビューを果たして以来60年、その革新的なテーマと文体で常に現代日本文学の最前線を走ってきた大江健三郎。 青年の苦悩、政治と性、共生、神なき祈り、魂の救済──ノーベル文学賞作家の文学の全貌を、わかりやすい解説を付して編集した全集決定版!講談社
「文学の淵を渡る」
新潮文庫
平成30年1月1日発行
著者:大江健三郎
古井由吉
発行所:株式会社新潮社
尾崎真理子は、「大江健三郎の『義』」の「はじめに」で、大江と親しい古井由吉の遺作「われもまた天に」(2020年)に収められた「遺稿」最終行に、<自分が何処の何者であるかは、先祖たちに起こった厄災を我身内に負うことではないか>とあるのを読み、心に刺さった、という。さっそく「われもまた天に」をアマゾンに購入申し込みをしました。
「文学の淵を渡る」は、大江健三郎と古井由吉との対談本、手持ちの本です。未読ではありますが。大江健三郎は、女性ばかりではない、ということで…。