平田オリザの「名著入門 日本近代文学50選」(朝日新聞出版:2022年12月30日第1刷発行)を読みました。
もともと本書は、朝日新聞読書面の連載「古典百名山」を元に加筆修正したものです。
連載の経緯はというと、
そもそも朝日新聞社から「古典百名山」の連載依頼が来たのも、一つには高橋さん原作の「日本文学盛衰史」を舞台化し、それがそこそこの評判をとったことにも一因があった、からだという。
僕は朝日新聞をずっととっているので、「古典百名山」については毎回読んでいました。日本の近代文学を年代順に書いているので、一章、二章に読んでないものも多い。しかし、幾人かの作家は、新たに追加しているようです。
議論の趣旨が僕の書いていたブログとあえば、切り張りして使わせていただいたものもいくつかあります。バラバラに書いているのでしょうが、全体を通してみると、見事な日本近代文学史になっています。
何を読むか、どう読むか。
時代を超える作家の批評性こそ日本語の財産だ。
明治維新から四十数年、社会の大変革に日本語がようやく追いついた。
夏目漱石たちが発明した文体で私たち日本人は、
一つの言葉で政治を語り、喧嘩をし、ラブレターを書けるようになった。
漱石たちの作品が読み継がれているのは、
そこに描かれた人間が、現代日本人の原型だからに他ならない。
日本近代文学を読むことは、今を生きる道を新たに発見することなり―。
目次
第一章 日本近代文学の黎明
樋口一葉/森鷗外/尾崎紅葉/北村透谷/二葉亭四迷/坪内逍遥
第二章 「文学」の誕生
国木田独歩/正岡子規/中江兆民/島崎藤村/夏目漱石/与謝野晶子
第三章 先駆者たち、それぞれの苦悩
石川啄木/田山花袋/若山牧水/幸徳秋水/泉鏡花/北原白秋
第四章 大正文学の爛熟
芥川龍之介/志賀直哉/川端康成/谷崎潤一郎/有島武郎/萩原朔太郎/岸田國士
第五章 戦争と向き合う文学者たち
小林多喜二/宮沢賢治/堀辰雄/高村光太郎/江戸川乱歩/井伏鱒二/林芙美子/火野葦平/永井荷風/中島敦/金子光晴
第六章 花開く戦後文学
太宰治/坂口安吾/織田作之助/大岡昇平/檀一雄/高橋和巳/安部公房/三島由紀夫
第七章 文学は続く
開高健/北杜夫/司馬遼太郎/井上ひさし/石牟礼道子/別役実
平田オリザ:
1962年東京都生まれ。国際基督教大学(ICU)教養学部卒業。劇作家、演出家、劇団「青年団」主宰。芸術文化観光専門職大学学長。江原河畔劇場、こまばアゴラ劇場芸術総監督。94年初演の「東京ノート」で翌年第39回岸田國士戯曲賞受賞、ほか受賞多数。
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