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森鴎外の「舞姫」を読んだ!

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森鴎外の「舞姫」(岩波文庫:1981年1月16日第1刷発行、2022年8月4日第64刷発行)を読みました。

 

すごいですね、64刷だとは! 「舞姫」を読もうと思ったのは、もちろん、中島国彦の「森鴎外 学芸の散歩者」を読んだことによります。

中島国彦の「森鴎外 学芸の散歩者」を読んだ!

 

僕が持っている森鴎外関連の本は「現代日本文学館1森鴎外」ただ一冊です。しかも昭和42年(1967年)のもの、今から50年以上前の全集の第1卷です。目次をみても、「舞姫」は読んだかどうか、読んだ記憶がまったくありません。

 

篠田正浩監督が郷ひろみの主演で「舞姫」を撮っているのは知っていました。が、借りたくてもビデオ屋にありません。

 

「映画COM」によれば、篠田正浩監督の「舞姫」(1989)のストーリーは、以下のとおりである。 

 

太田豊太郎は東大医学部を卒業して3年後の明治19年(1885)、天皇の命を受け日本の将来を任うべく国費留学生としてドイツへ渡った。ベルリンで豊太郎はコッホ教授に師事するかたわらドイツでの生活を楽しんでいたが、ベルリン駐在武官・副島和三郎の監視は厳しかった。ある日、豊太郎は散歩の途中で、少女エリスと出会い、恋におちた。貧しくて父の葬式も出せないエリスに豊太郎は懐中時計を渡し、質屋で金に替えるよう勧めた。エリスはビクトリア座で踊る美しいプリマドンナだった。二人の交際を認めたくない副島は豊太郎をミュンヘンへ飛ばそうとするが、彼は免官して民間人となり、ベルリンへ残った。貧しくも楽しいエリスと彼女の母、そして豊太郎の三人の共同生活が始まった。豊太郎は新聞記事を書く仕事が認められるようになった。そんな時、天方伯爵のお伴としてベルリンにやって来た旧友・相沢と再会。豊太郎の免官が原因で母・清子が自殺未遂したことを知らされ、また伯爵の片腕となり日本へ帰国するようにと勧められた。悩んだ豊太郎は雪の中をさまよい、急性肺炎で倒れてしまう。その間、エリスは豊太郎の子供を流産してしまい、相沢によって慰謝料が支払われていた。豊太郎はエリスとの別れと共に帰国を決意したのだった。

 

 

「日本人留学生とドイツの一少女との悲恋を描いた」という「舞姫」を、文庫本をアマゾンに注文し、読んでみました。が、旧仮名づかい、というのか、なにしろ難解な文章です。僕にはすんなり読めるわけにはいきません。

 

で、これ、「舞姫 現代語訳」のお世話になりました。

森 鴎外『舞姫』現代語訳┃わかりやすく全文訳したから簡単に読めます | 百人一首で始める古文書講座【歌舞伎好きが変体仮名を解読する】 (honda-n2.com)

 

鴎外が文壇に出たのは、

明治二十三年に、ベルリンを舞台にした「舞姫」を発表し、続いて「うたかたの記」でミュンヘン、「文づかひ」でドレスデンを。こうして、明治十七年から足かけ五年のドイツ留学を下敷きにして、「ヨーロッパみやげ三部作」が誕生したのです。これで鴎外は、一躍、文壇の寵児になるのです。

 

三部作のうち、こんにち、「舞姫」がもっとも知られており、また、たくさんの問題が提出されている。自我の問題、比較文学上の問題、背景の都市空間の問題、それに私生活上の問題――鴎外の帰朝後、ドイツ女性があとを追って来たのを、説き伏せて帰国させた。

 

太田豊太郎は、いわゆるエリートコースを歩んだ青年だったが、途中、ややコースからはずれはじめ、ふとしたことから、貧しい家の踊り子稼業のドイツ少女との情愛が深まると共に、完全に脱落した。けれども、その脱落状況そのものが客観的には、どんな意味をもつかは別の問題である。しかし、急に、ふるい路線へ回帰することで、実質上、無意味なものにしてしまった。この差悪品は、そういう路線回帰に対する、あるいは、そのかんにおけるいささかの心の隙間に対する弁明の小説である。

 

豊太郎は、この回帰の根本的条件を、己の「弱き心」に帰している。運命にかかわる大事なところで、「弱き心」に征服されて来た。その心が、あげく、敢えて非人間的な行動を犯させた。しかも、この回帰の背徳を、回帰媒介者の相沢謙吉へ転嫁する、その心情のいやらしさ、太田豊太郎は、きわめて評判がわるいのである。そして、この太田の弁明にあたかもよっかかっているがごときところを、作者の精神の在り方と看做して、また評判が悪かった。(以上、「解説:稲垣達郎」による)

 

岩波文庫

舞姫・うたかたの記 他三篇

 

目次

舞姫

うたかたの記

文づかひ

そめちがへ

ふた夜

解説:稲垣達郎

 

僕の手もちの鴎外の本

 

現代日本文学館

森鴎外

昭和42年12月1日第1刷

発行所:株式会社文藝春秋

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