岡田温司の「西洋美術とレイシズム 」(ちくまプリマ―新書:2020年12月10日初版第1刷発行)を読みました。
あきさんのブログで、この本のことを知りました。
そこには以下のようにありました。
実は聖書自体がレイシズムの根を持っており
人々の意識も聖書を利用した為政者も皆それに感化されてきて
文化的にもそれが当たり前のように表現されていく
そんな話が展開されていまいした
そして、例えば…として
「ノアの泥酔」と「ハガルの追放」の図像を取り上げて解説していました。
僕は人種主義(レイシズム)について知りたくて、以下の本を読みました。
岩波のこの本の紹介は、以下の通りです。
「人種」という根拠無き考えに基づいて、人を差別・排除する。人種主義(レイシズム)は、ナショナリズム、植民地主義、反ユダヤ主義等と結びつき、近代世界に計りしれぬ惨禍をもたらし、ヘイトスピーチや黒人差別など、現代にも深い影を落としている。大航海時代から今日まで、その思想と実態を世界史的視座から捉える入門書。
ウィキペディアによると、
人種主義(じんしゅしゅぎ、英語: racism、レイシズム)とは、人種間に根本的な優劣の差異があり、優等人種が列島人種を支配するのは当然であるという思想、イデオロギー。人種主義は、身体的差異と考えられるものに結びついている点でエスノセントリズム(自民族中心主義、自文化中心主義)とは異なる。
岡田温司の「西洋美術とレイシズム」は、
人種差別の根源をキリスト教美術に探る
西洋美術とレイシズム―人種主義あるいは人種差別―、この二つは密接につながっている、これがこの本の主張するところである、と岡田は言う。そのつながりがさまざまな様相を見せるのは、西洋美術の根幹をなすキリスト教美術の長い伝統においてである。三つの一神教、すなわちユダヤ教とキリスト教とイスラム教は、旧約聖書を聖典と仰ぐことで一致している。
が、そこに語られるいくつかのエピソードを、”レイシズム的”に読んで絵画にしてきたのはキリスト教だけである。「人種」という概念それ自体は、十八世紀にさかのぼるもので、科学的な裏付けがあるかのように装ったレイシズム、「科学的レイシズム」に理論的な根拠を与えてきたわけだが、その根はずっと深くキリスト教とその図像のなかで培われていた、というのが私の考えである、と岡田は言う。
アメリカで警察官による黒人への暴行を取り上げ、「問題の根は深い」と多くの人が言う。その深い根が実のところ宗教的なものにあることは、日本では取り上げられてこなかった。ほぼ二千年にもわたるキリスト教美術の歴史のなかで、人々が目にしてきたものが、ほとんど無意識的な記憶になって残存しつづける。小著が、これまで抑圧されてきたその無意識を呼び覚ますためのささやかな手引きになるなら幸いである。
(「はじめに」より)
目次
第1章 呪われた息子―ハムとその運命(ノアの泥酔と呪われた息子ハム
祝福と呪い
褐色肌のハムの子孫とアフリカ ほか)
第2章 ハガルとイシュマエル―追放された母子(エジプトの女奴隷ハガル
ムスリムとしてのイシュマエル
イスラム教におけるアブラハム父子 ほか)
第3章 賢者と聖人―キリスト教とレイシズムの諸相(シバの女王―「わたしは黒くて美しい」
黒いシバの女王
白く描かれたアフリカの女王たち ほか)
岡田温司:
1954年広島県生まれ。1978年京都大学文学部卒業、1985年同大学大学院博士課程修了、岡山大学助教授を経て、現在京都大学大学院人間・環境学研究科教授。西洋美術史・思想史専攻。『モランディとその時代』で吉田秀和賞『フロイトのイタリア』で読売文学賞受賞。『処女懐胎』『マグダラのマリア』『キリストの身体』『アダムとイブ』『グランドツアー』『デスマスク』ほか著作多数。
岡田温司の著作は今まで、数多く読んでいました。
読むたびにブログに書いてきました。
過去の関連記事:岡田温司関連(古い順)
「マグダラのマリア」
中公新書
2005年1月25日初版
「処女懐胎」
中公新書
2007年1月25日発行
「キリストの身体」
中公新書
2009年5月25日発行
「グランドツアー」
岩波新書
2010年9月17日第1刷発行
岡田温司の「グランドツアー・18世紀イタリアへの旅」を読んだ!
「デスマスク」
岩波新書
2011年11月18日第1刷発行
「アダムとイヴ」
中公新書
1012年10月25日発行
「黙示録」
岩波新書
2014年2月20日第1刷発行
これは読んだが、ブログに書いてない。
「ジョルジョ・モランディ 人と芸術」
平凡社新書
発行日:2011年3月31日初版第1刷発行
著者:岡田温司
発行所:株式会社平凡社
以下は展覧会についてです。