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サントリー美術館で「大英博物館 北斎―国内の肉筆画の名品とともに―」を観た!

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「大英博物館 北斎」チラシ

 

「サントリー美術館」正面入口

大英博物館 北斎
―国内の肉筆画の名品とともに―

2022年4月16日(土)~6月12日(日

 

江戸時代後期を代表する浮世絵師・葛飾北斎(1760~1849)は、世界で最も著名な日本の芸術家の一人です。《冨嶽三十六景》や『北斎漫画』など、一度見たら忘れられないインパクトを持つ作品の数々は、国内外で高い人気を誇っています。
北斎と海外との関係については、モネ、ドガ、ゴッホら印象派およびポスト印象派の画家たちによる北斎への傾倒や、フランスを中心としたジャポニスムへの影響が有名ですが、イギリスにも多くのコレクターや研究者がおり、その愛好の歴史は19世紀まで遡ることができます。なかでも大英博物館には、複数のコレクターから入手した北斎の優品が多数収蔵されており、そのコレクションの質は世界でもトップクラスです。本展では、この大英博物館が所蔵する北斎作品を中心に、国内の肉筆画の名品とともに、北斎の画業の変遷を追います。約70年におよぶ北斎の作画活動のなかでも、とくに還暦を迎えた60歳から、90歳で亡くなるまでの30年間に焦点を当て、数多くの代表作が生み出されていく様子をご紹介します。また、大英博物館に北斎作品を納めたコレクターたちにも注目し、彼らの日本美術愛好の様相を浮き彫りにします。

1.貴重な初期作と、晩年の代表作

北斎の揃物の名品は、その多くが70歳を過ぎてから制作されました。たとえば、風景版画の名手としてのイメージを決定づけた《冨嶽三十六景》は、数え71歳から74歳頃の作品と考えられており、晩年になっても尽きることのない北斎の創作意欲を感じさせます。その後、立て続けに刊行された《諸國瀧廻り》や《諸國名橋奇覧》のシリーズは、《冨嶽三十六景》と同じ西村屋与八から出版されており、北斎の独特な風景描写が広く人気を博していた様子がうかがえます。一方で、「春朗」という画号で活動していた初期の作品《市川鰕蔵の山賤実は文覚上人》からは、人物の動きを捉える巧みなバランス感覚が見て取れ、画業の最初期からすでに才能を開花させていたことが分かります。本展では、大英博物館の所蔵する揃物の優品や、現存数の少ない貴重な初期作をご紹介します。

 

2.肉筆画の名品

北斎が直接筆を執った肉筆画には、彼の卓越した画力と大胆な発想力が遺憾なく発揮されています。肉筆画は40代から50代半ばと、75歳頃から没年までの2期に多く描かれており、とくに前者では美人画の優品、後者では幅広い画題に挑戦をした意欲作が次々と生み出されました。代表作《流水に鴨図》(大英博物館)は88歳の作品ですが、水上と水中の様子を対比的に描き分ける巧みなテクニックには、一切筆の衰えが感じられません。年齢が記された肉筆画のなかでは88歳が最も多く、最晩年になっても常に高みを目指し続けていたことが分かります。また、暗闇に浮かび上がる鬼と弘法大師の姿が強烈なインパクトを残す《弘法大師修法図》(西新井大師總持寺)は、晩年期の作品では最大級で、80代後半になってもなお気力と体力に満ち溢れていた北斎の姿が浮かび上がってきます。本展では、大英博物館および国内所蔵の肉筆画の名品を通して、天才絵師・北斎の真骨頂をご覧いただきます。

 

3.コレクターと大英博物館

大英博物館が所蔵する北斎作品は、様々なコレクターからの譲渡によって、質・量ともに充実していきました。華やかな錦絵や肉筆画はもちろんのこと、版本、摺物、版下絵など、北斎の多岐にわたる作画活動を網羅しており、それぞれのコレクターや研究者の優れた審美眼が、世界有数の北斎コレクションを築き上げました。なかでも、外科医ウィリアム・アンダーソン(William Anderson、1842~1900)と小説家アーサー・モリソン(Arthur Morrison、1863~1945)の果たした役割は大きく、彼らの蒐集品は大英博物館における日本絵画コレクション全体の礎となりました。アンダーソンは著作『日本の絵画芸術(“The Pictorial Arts of Japan”)』のなかで、自身が所蔵していた《為朝図》を取り上げ、北斎の芸術的才能や作品に表れる精神性・知性を高く評価しています。そして、《流水に鴨図》や《若衆図》などの重要作品を所蔵していたモリソンもまた、著作『日本の画家(“The Painters of Japan”)』で北斎について言及し、その幅広い画域を称賛しています。加えて、研究面で北斎コレクションを支えたのが、詩人であり大英博物館のキュレーターでもあったローレンス・ビニョン(Laurence Binyon、1869~1943)です。ビニョンは《百人一首姥がゑとき》や《詩哥冩真鏡》といった代表的な版画の揃物を購入し、博物館のコレクションをより成長させただけでなく、アンダーソン・コレクションを整理し、数多くの日本美術関連の著作を執筆するなど、イギリスにおける日本美術研究に多大なる功績を残しました。本展では、6人のコレクターおよび研究者に着目し、旧蔵品や著作、関連資料などを通して、イギリスにおける北斎愛好にも焦点を当てます。

 

展覧会の構成は、以下の通りです。

 

第1章:画壇への登場から還暦

第2章:富士と大波

第3章:目に見える世界

第4章:想像の世界

第5章:北斎の周辺

第6章:神の領域―肉筆画の名品―

 

 

第1章:画壇への登場から還暦

 

「市川鰕蔵の山賤実は文覚上人」
寛政3年(1791)

 

「為朝図」文化8年(1811)

 

第2章:富士と大波

 

「千繪の海 相州利根川」天保4年(1833)頃

 

「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」
天保元年~4年(1830~33)頃

 

「冨嶽三十六景 凱風快晴」
天保元~4年(1830~33)頃

 

第3章:目に見える世界

 

「諸國瀧廻り 和州吉野義経馬洗滝」
天保4年(1833)頃

 

「諸國名橋奇覧 飛越の堺つりはし」
天保5年(1834)頃

 

「若衆図」
天保11年(1840)

 

第4章:想像の世界

 

「小野小町」
文化年間中期(1809~13)頃

 

「百物語 こはだ小平」
天保4年(1833)頃

 

第5章:北斎の周辺

 

「漁師図」
文政年間(1818~30)頃

 

第6章:神の領域―肉筆画の名品―


「流水に鴨図」

弘化4年(1847)

 

「鯉亀図」文化10年(1813)

 

「白拍子図」
文政3年(1820)頃

 

「サントリー美術館」ホームページ

サントリー美術館 (suntory.co.jp)

 

 

手許にある北斎展の図録

(分厚かったので、目についたもの)

最近は図録は高価なので買えません

 

「北斎展」

展覧会図録

編集:

東京都江戸東京博物館

名古屋市美術館

山口県立萩美術館・浦上記念館

東京新聞

発行:

東京新聞©2007

 

開館記念展

「北斎の帰還―幻の絵巻と名品コレクション」

展覧会図録

2016年11月22日発行

編集・発行:

すみだ北斎美術館©2016

 

「新・北斎展」

展覧会図録

2019年1月17日(木)~3月24日(日)

森アーツセンターギャラリー

監修:

永田生慈

編集:

岩切友里子

根岸美佳

日本経済新聞社文化事業部

NHK

NHKプロモーション

発行:

日本経済新聞社

NHK

NHKプロモーション

 

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