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池澤夏樹の「終わりと始まり2.0」を読んだ!

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池澤夏樹の「終わりと始まり2.0」(朝日文庫:2022年1月30日第1刷発行)を読みました。本書は朝日新聞に2013年4月から2017年12月にかけて連載されたエッセイです。なお、第1弾「終わりと始まり」(朝日文庫)は、2015年7月7日に刊行されています。

 

災害体験の資産化、植民地としての沖縄、トランプ大統領と「事実」・・・困難を抱える人々の話に耳を傾け続け、日本の危機、戦争のできる国への変貌を憂える。縦横無尽な作家の身体と心がとらえた、朝日新聞好評連載書籍化第2弾。

(解説・中島岳志)

 

「解説」で中島岳志は、以下のように言う。

池澤が本書収録のエッセー執筆時期に行っていた仕事に、「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集の刊行がある。この全集では、日本の古典が現代語に翻訳され、収録されている。池澤自身も「古事記」などの翻訳に取り組んでいる。池澤は、被災地を訪問し、安倍内閣に憤りながら、古代に生きた死者たちと対話していたのだ。彼らの言葉を吸収し、いまの言葉として表出する。翻訳作業を通じて、池澤は死者と交流し、共同性を構築しようとしたのだ。そして、そのことを通じて、未来の他者との対話の回路をひらこうとしたのだ。

 

目次

三回忌の後で

憲法をどう論じようか

ホモ・エックスとの共生

伊勢神宮というシステム

名誉ある敗北

快適な都市の設計

希望の設計と未来図

社会主義を捨てるか

高千穂の夜神楽

ギリシャの不幸と財政ゲーム

独裁と戦争

第一次世界大戦の教訓

原発安全神話の独り歩き

災害体験という資産

函館の憤怒・日本の不幸

死地への派遣

喧騒を遠く離れて

弱者の傍らに身を置く

過激とユーモアの不足

地下の水銀、地上の放射能

正倉院の工芸品

桃太郎と教科書

隣人と認め合う努力

ムスリムとフランス社会

無人の国道6号線

主権回復のために

憂国のラップ

映像と台詞

死にかけの三権分立

ギリシャ危機

時間の再配分

隣人としての我らと彼ら

ピカソの作品に思う

テロとの戦い

与那国島からの便り

抵抗する若者たち

東電の責任と倫理観

あの津波と次の津波の間

文字と決まり

熊本地震、被災地を訪ねて

普天間基地の20年

難民問題を考える:上

難民問題を考える:下

場所とモノの出会い

アボリジニの芸術

内地から見る沖縄問題

ルポルタージュ

ガラスの天井

漢字の來し方行く末

トランプ大統領と「事実」

イラク戦争から14年

ビックデータとAI

サハリン、28年ぶりの再訪

火に包まれた世界で

舞台「子午線の祀り」を見る

瀬戸内海を旅して

それでも、愚直に選ぶ

マダガスカルと福島

ヨーロッパ、不安定の中で

 

詩「終わりと始まり」(ヴィスワヴァ・シンボルスカ/沼野允義訳)

 

あとがき

文庫本へのあとがき

解説 中島岳志

 

池澤夏樹:

1945年北海道生まれ。作家、詩人。88年「スティル・ライフ」で芥川賞、93年「マシアス・ギリの失脚」で谷崎賞、94年「楽しい週末」で伊藤整文学賞、2000年「花を運ぶ妹」で毎日出版文化賞、「すばらしい新世界」で芸術選奨文部大臣賞、04年「静かな大地」で親鸞賞、05年「パレオマニア」で桑原武夫学芸賞、10年「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」で毎日出版文化賞、10年朝日賞受賞。近著に、「科学する心」「ワカタテル」「さくれ魂」「みっちんの声」(石牟礼道子との共著)など。14年より「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集01 古事記」を現代語訳。

 

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