石牟礼道子の「魂の秘境から」(朝日文庫:2022年1月30日第1刷発行)を読みました。
本の帯で池澤夏樹は、以下のように書いています。
たぶん石牟礼道子は初めから異界にいた。そこから「近代」に異域に押しだされた水俣病の患者たちとの連帯が生まれtのだろう。
世界的文学「苦海浄土」の著者による、水俣・不知火海の風景の記憶と幻視の光景。遺作
本のカバー裏には、以下のようにあります。
「むかしの田園では、大地と空はひとつの息でつながっていた」。現世での生きづらさ、生命の根源的な孤独。世界的文学『苦海浄土』の著者による、水俣・不知火海の風景の記憶と幻視の光景。朝日新聞に3年にわたり連載された著者最晩年の肉声。(解説・上原佳久)
海が汚染されるということは、環境問題にとどまるものではない。それは太古からの命が連なるところ、数限りない生類と同化したご先祖さまの魂のよりどころが破壊されるということであり、わたしたちの魂が還りゆくところを失うということである。(本文「原初の渚」より)
目次
少年、
会社運動会
湯船温泉
避病院
石の物語
アコウの蟹の子
水におぼれた記憶
紅太郎人形
雲の上の蛙
海底の道
お手玉唄
大雨乞と沖の宮
魂の遠ざれき
何かいる 上
何かいる 下
熊本地震
ぽんぽんしゃらどの
花結び
原初の歌
あの世からのまなざし
女の手仕事
わが家にビートルズ
天の田植え
椿の蜜
石の神様
流浪の唄声
黒糖への信仰
原初の渚
なごりが原
食べごしらえ
明け方の夢
石牟礼道子:
1927年熊本県生まれ。まもなく水俣町へ移る。水俣実務学校卒業後、小学校代用教員を経て結婚。家事の傍ら詩歌を作りはじめ、57年、谷川雁らが結成した「サークル村」に参加、本格的に文学活動を開始。69年に『苦海浄土 わが水俣病』を刊行、70年に同作が第一回大宅壮一賞に選ばれるものの、受賞辞退。73年、マグサイサイ賞受賞。93年、『十六夜橋』で紫式部文学賞受賞。2002年、朝日賞受賞、また新作能「不知火」上演。03年『はにかみの国ー石牟礼道子全詩集』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2018年逝去。享年90
過去の関連記事:
田中優子の「苦海・浄土・日本 石牟礼道子 もだえ神の精神」を読んだ!
以下、購入してあるがまだ読んでいない本
新装版 苦海浄土 わが水俣病
講談社文庫
著者:石牟礼道子
2004年7月15日第1刷発行
発行所:株式会社講談社
評伝 石牟礼道子 渚に立つ人
新潮文庫
著者:米本浩二
令和2年2月1日発行
発行所:株式会社新潮社