「ハイジのブログ」のハイジさんのブログにこんな記事が!
昨日の朝日新聞
待ちに待った土曜の読書欄
こんなのがあったよ
昨年暮れに、人から薦められて太宰治の「津軽」を読みました。その人は、テレビ番組BS-2の「名作平積み大作戦」という番組の「ぶらりと旅に出てみたい人にオススメの名作」というコーナーで、作家の高橋源一郎がこの「津軽」を取り上げて、「あなたは帰りたい故郷がありますか?私にはあります。それは太宰治の『津軽』です」と、上手にプレゼンテーションを行っていたので読んでみたということでした。僕は、太宰治の作品はいろいろ読みましたが、この「津軽」という作品は紹介されて初めて知りました。「津軽」は昭和19年、津軽風土記の執筆を依頼され、3週間に渡って津軽を旅行したときの記録、作者36歳の時の作品です。「斜陽」や「人間失格」が最も有名だが、彼の本質を一番よく顕わしているのは「津軽」である、と亀井勝一郎は文庫本の解説で述べています。
200ページちょっとの文庫本、これなら簡単に読めそうだと思い、なんの先入観もなく読み始めたのですが、延々と続く津軽の紹介記事には、正直言って読み進めるのはうんざりする思いでした。しかし、最後の最後にクライマックスはありました。第5節「西海岸」の小泊で、幼年時代の乳母であり育ての親の「たけ」と、30年ぶりに再会する場面です。実は第5節に入ってから読むのを止めていたのですが、そのすぐ後にたけとの再会の場面が控えていました。おこがましいですが、さすがは太宰治だ、と思い感動しました。
「修治だ」私は笑って帽子をとった。
「あらあ」それだけだった。笑いもしない。まじめな表情である。
・・・
平和とは、こんな気持ちの事を言うのであろうか。もしそうなら、私はこのとき、生まれてはじめて心の平和を体験したと言ってもよい。
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著者:太宰治
定価: 572円(本体520円+税)
発売日:2018年06月15日