[シアター]イメージフォーラムで、アレクサンダー・ナナウ監督のドキュメンタリー映画「コレクティブ 国家の嘘」を観てきました。
朝日新聞に「権力の腐敗、許したものは何か」というタイトルで、映画評が載っていました。我が国も新政権になっても、誰も何も追求しようとしない、相変わらずの自民党政権、何をか言わんやです。
薄められた真実――
ルーマニアを震撼させた巨大医療汚職事件―
国家とは、報道とは、様々な問いかけが
胸を抉る衝撃のドキュメンタリー!
「コレクティブ 国家の嘘」
2015年10月30日、東欧ルーマニア・ブカレストのクラブ「コレクティブ」で実際に起こった火災を発端に、明らかになっていく製薬会社や病院、そして政府や権力へと繋がっていく衝撃的な癒着の連鎖。本作は、命よりも利益や効率が優先された果てに起こった国家を揺るがす巨大医療汚職事件の闇と、それと対峙する市民やジャーナリスト達を追った、フィクションよりもスリリングな現実を捉えたドキュメンタリー映画だ。
監督は、世界各国の映画祭で上映され数多くの賞を受賞した『トトとふたりの姉』のアレクサンダー・ナナウ。地道な調査報道を続けるジャーナリストを追う前半から一転、映画の後半では熱い使命を胸に就任した新大臣を追い、異なる立場から大事件に立ち向かう人達を捉えていく。
“まるでリアル『スポットライト 世紀のスクープ』だ”とも評される本作は、命の危険を顧みず真実に迫ろうとするジャーナリストたちの奮闘に思わず手に汗握るだけでなく、日本を始め世界中のあらゆる国が今まさに直面する医療と政治、ジャーナリズムが抱える問題に真っ向から迫っており、ドキュメンタリーでありながら本年度アカデミー賞のルーマニア代表として選出され、ルーマニア映画としてはじめてのオスカーノミネートにして国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞の2部門でノミネートを果たした。そのほか、世界各国の映画祭で32の賞を獲得し、50ものノミネートを果たしている。
また、非英語映画でありながら、タイム誌が選ぶ2020年ベスト映画の第2位に選出されたほか、ローリングストーン誌では第1位に選出され「惨劇、隠蔽、暴露。今年最高のドキュメンタリーだ」と最高の賛辞を得た。ヴァニティ・フェア誌では第3位、インディ・ワイアーでは第3位となり「ジャーナリズムについて描く映画史上、最も偉大な作品だ」と評されたほか、「これほど現代社会を象徴する映画はない」(ワシントン・ポスト紙)とも評されている。さらに、映画レビューサイト、ロッテントマトでは満足度99%(7月19日時点)をたたき出し、まさに現代を代表する1作として圧倒的な評価を得ている。
監督:アレクサンダー・ナナウ
1979年、ルーマニア生まれのドイツ系ルーマニア人の映画監督。ベルリン映画テレビアカデミー(DFFB) で演出を学ぶ。ドキュメンタリー映画『THE WORLD ACCORDING TO ION B (原題)』(09) で、2010年に国際エミー賞を受賞。長編ドキュメンタリー映画『トトとふたりの姉』(14) は、2015年欧州アカデミー賞にノミネートされる。同作は広く国際的に配給され、世界中の映画祭で上映された。フランス・ドイツ合作のソニア・クロンルンド監督のドキュメンタリー映画『NOTHINGWOOD(原題)』(17) で撮影監督を務める。同作はカンヌ国際映画祭2017の監督週間でプレミア上映された。最新の長編ドキュメンタリー『コレクティブ 国家の嘘』は、ヴェネツィア国際映画祭2019のオフィシャルセレクション (アウト・オブ・コンペティション)でプレミア上映され、ルーマニア映画として初めてのアカデミー賞ノミネートをもたらした。サムサ・フィルム(ルクセンブルク) とHBOヨーロッパとの共同制作作品。
あらすじ:
2015年10月、ルーマニア・ブカレストのクラブ“コレクティブ”でライブ中に火災が発生。27名の死者と180名の負傷者を出す大惨事となったが、一命を取り留めたはずの入院患者が複数の病院で次々に死亡、最終的には死者数が64名まで膨れ上がってしまう。カメラは事件を不審に思い調査を始めたスポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」の編集長を追い始めるが、彼は内部告発者からの情報提供により衝撃の事実に行き着く。その事件の背景には、莫大な利益を手にする製薬会社と、彼らと黒いつながりを持った病院経営者、そして政府関係者との巨大な癒着が隠されていた。真実に近づくたび、増していく命の危険。それでも記者たちは真相を暴こうと進み続ける。一方、報道を目にした市民たちの怒りは頂点に達し、内閣はついに辞職へと追いやられ、正義感あふれる保健省大臣が誕生する。彼は、腐敗にまみれたシステムを変えようと奮闘するが…。
映画「コレクティブ 国家の嘘」公式サイト|10月2日(土)ロードショー (transformer.co.jp)
朝日新聞:2021年9月24日