「2021年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位、ザリガニの鳴くところ」という記事が飛び込んできました。本屋大賞はあまり興味がなかったのですが、こうして取り上げれれると、直接関係しているわけではないのですが、なぜかうれしいものです。さっそく翻訳者の友廣純さんが、朝日新聞に取り上げられていました。本の帯も「本屋大賞翻訳小説部門第1位」に変わっていました。
ディーリア・オーエンズ著、友廣純訳「ザリガニの鳴くところ」(早川書房:2020年3月15日初版発行、2020年4月25日4版発行)を読みました。いわゆる「積読」のなかの一冊でしたが、なんとか一気に読み終わりました。この本のことを知ったのは、いつ、どこで、だったのだろう? 今となってはまったく思い出せません。購入したのは、たぶん、4月の終わりか、5月の初めだったような気がします。fubukiさんと同じく、1ヶ月も寝かせることになってしまいました。
僕は文章力がないため、「映画らしい映画」だとか、「小説らしい小説」など、ただ一つの誉め言葉でよく使っていますが、自分でも恥ずかしいぐらいのボキャ貧さでなんとも情けない。が、またしても使います。まさにディーリア・オーエンズ著「ザリガニの鳴くところ」は、小説らしい小説です。500ページもある分厚い本ですが、息をもつかせず、がんがん読ませます。読みごたえがあります。アメリカらしく、裁判の部分が長いのは、少々うんざりでしたが・・・。
「訳者あとがき」にも記されていますが、作中で使われる「貧乏白人(ホワイト・トラッシュ)」、最近よく聞く言葉です。白人にもさまざまな階層があり、その最下層が「貧乏白人(ホワイト・トラッシュ)」、地主階級とは対照的に、自堕落、暴力的、不衛生等々、人格的にも劣る存在とみなされ、この呼称には、そうした負のイメージが根強く残り続けたという。
「2019年アメリカで一番売れた本」、「全米500万部突破、感動と驚愕のベストセラー」とあるのは、十分に納得です。しかも、70歳で執筆した本作が初めての小説というから、これも驚きです。
たくさんの人がこの作品に注目し、数多く多く書評などが書かれています。が、書評を書けというのは、僕には無理というもの…。ここで屋上屋を重ねることはいたしません。他をあたってくれ!
全米500万部突破、感動と驚愕のベストセラー
ノース・カロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられたときから、カイアは湿地の小屋でたったひとり生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女のもとを去ってゆく。以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく…みずみずしい自然に抱かれて生きる少女の成長と不審死事件が絡み合い、思いもよらぬ結末へと物語が動き出す。全米500万部突破、感動と驚愕のベストセラー。
ディーリア・オーエンズ:
ジョージア州出身の動物学者、小説家。ジョージア大学で動物学の学士号を、カリフォルニア大学デイヴィス校で動物行動学の博士号を取得。ボツワナのカラハリ砂漠でフィールドワークを行ない、その経験を記したノンフィクション『カラハリ──アフリカ最後の野生に暮らす』(マーク・オーエンズとの共著、1984年)(邦訳は1988年、早川書房刊)が世界的ベストセラーとなる。同書は優れたネイチャーライティングに贈られるジョン・バロウズ賞を受賞している。他にも,動物にまつわるノンフィクションであるThe Eye of the Elephant、Secrets of the Savanna(ともに共著)を発表。また、研究論文は《ネイチャー》誌など多くの学術雑誌に掲載されている。現在はアイダホ州に住み、グリズリーやオオカミ、湿地の保全活動を行っている。70歳で執筆した本作が初めての小説である。
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