1949年の火災で焼損する前、明治から昭和にかけ、たった一人で全12面を生涯で3回模写したのが、鈴木空如です。秋田県出身で兵役を経て東京美術学校で日本画を学んだ。仏教美術を伝えるため、全国の仏画模写に生涯を捧げた孤高の画家です。実寸の巨大な画面は、焼損以前の姿を今に伝えてくれます。
空如は、東京美術学校在学中に、桜井香雲の金堂壁画模写を見て感銘を受け、仏画模写を志したといわれる。彼の模写は箱根鈴木家本(大正11年完成)、平木浮世絵財団本(昭和7年完成)、秋田県大仙市本(昭和11年完成)の3機に分かれ、今回は最も完成度が高い大仙市本の模写の一部が展示されています。
NHK日曜美術館
2014年5月18日放送
鈴木空如:
明治6年(1873)~昭和21年(1946)。本名鈴木久治。秋田県仙北郡小神成村(現大仙市太田町)生まれ。兵役後の明治31年(1898)に東京美術学校日本画科撰科に入学。山名貫義、東洋美術史の大村西崖に師事。明治35年に卒業。平福百穂・松岡映丘と同期。さらに研究科に進むが、明治40年頃から仏教画像の模写・制作に専念し、法隆寺金堂壁画模写の他にも大小4000枚ほどの貴重な資料を残している。終生、画業で名声を求めることなく、昭和21年(1946)に箱根の親戚宅で死去。
鈴木空如「法隆寺金堂壁画模写」
昭和7年(1932)~11年(1936)頃
「別品の祈り 法隆寺金堂壁画」
法隆寺と東京藝術大学(旧・東京美術学校)の関係は古く、フェノロサや岡倉天心による明治期の調査や金堂壁画再現模写事業をはじめとして、本学では法隆寺所蔵の文化財保護と継承に努めてまいりました。この度は、これまでの画家の手による「模写」という形での文化財保護の歴史を振り返り、さらに未来にむけての新たな文化財保護を予感させる展覧会を企画いたします。
1949年に焼損した法隆寺旧金堂壁画を全面原寸大で焼損前の姿に復元するとともに、最先端技術のスーパーハイビジョン(8K)プロジェクターを用いて、法隆寺金堂をテーマとした超高精細映像表現を展示します。焼損前に撮影されたガラス乾板やコロタイプ印刷、画家による模写などの資料をもとに、最先端のデジタル技術によって画像を統合し、さらに、東京美術学校から受け継がれてきた「伝統」に、「現代」を織り込んだ新しい模写を提示できるものと考えております。
本展時は、文部科学省「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM, COI-T)」の研究課題です。この研究事業では、東京藝術大学が培ってきた芸術の発想力を最先端デジタル技術の開発に導入する高次元なハイブリッドによって、決して科学技術のみでは到達できなかったイノベーティヴな技術開発と高品質な文化コンテンツの開発を行っていきます。
「法隆寺 祈りとかたち」
平成26年3月1日発行
編集:仙台市博物館
東京藝術大学大学美術館
新潟県立近代美術館
朝日新聞社
発行:朝日新聞社
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