ブリヂストン美術館で開催された「描かれたチャイナドレス」展 ブロガーナイト!に行ってきました。
開催概要
開催日:2014年6月12日(木)18:30~20:00
企画担当者による展示解説18:40~19:20
参加費:500円(税込)
参加特典として、①企画担当者によるギャラリートーク、②参加者のみの夜間特別鑑賞会、③「描かれたチャイナドレス」展のみ写真撮影可、④ティールーム(ジョルジェット)にて“シノワズリティー”がウエルカムドリンクとしてサービス、等々がありました。
*「撮影不可作品」は以下の6点
1.藤田嗣治「病児と力士」1934年
2.梅原龍三郎「姑娘とチューリップ」1942年
3.梅原龍三郎「玉鈴と三鈴」1942年
4.矢田清四郎「支那服の少女」1927年
5.岡田謙三「満人の家族」1942年
6.朝井閑右衛門「蘇州風景」1941年
*展示替え
前期のみ展示
藤島武二「東洋振り」1924年、個人蔵
後期のみ展示
安井曾太郎「金蓉」1934年、東京国立美術館蔵
恩地孝四郎「白堊(蘇州所見)」1940年、千葉市美術館蔵
チャイニーズ・ドレス
ギャラリートーク
「描かれたチャイナドレス」、メディアには好評だった。日本人が描いた油絵28点、中国服を着た女性を描いたというピンポイントの企画だった。去年の夏頃から8ヶ月という短い準備期間でなんとか作品を集めた。安井曾太郎の「金蓉」を借りられるかどうかで、この展覧会の正否がかかっていた。今から60~80年前、日本人はチャイナドレスを着ていた。1920年代、1930年代、チャイナドレスは流行だった。そういう時代があった。半分が和服、半分が洋服、そのなかで中国服を着ている人がいた。今回の展覧会、中国を表すとこんなイメージとして、壁の色を赤く塗った。
藤島武二の「匂い」1915年、中国服の女性像を描いたの最初作品。中国の嗅ぎ煙草を前にして、モデルが右肘をついてテーブルに座っている。ピンクのつややかな中国服を着て、薄緑の背景が引き立てている。この絵を描く4年前まで藤島はパリにいた。藤島は、フランスよりイタリアの方が肌に合っていた。朝鮮半島は伊太利亜半島に似ている。気質もイタリア人に似ている。日本から見た「まなざし」、日本よりの高い文化を持っていた。日本から見た朝鮮に「あこがれ」ていた。藤島は1910年代から中国服を60着も買い集める。中国服コレクションは絵の題材にした。
イタリア・ルネサンスの肖像画は女性も男性も真横から描いた。藤島はルーブルで模写し、自分の出発点とした。「芳蕙」は行方不明だった。「女の横顔」は「芳蕙」のモデルが着ている中国服と同じものを着ている。モデルは竹久夢二と別れたあとの「お葉」と名付けられた佐々木子ヨ(かねよ)。藤島は「日本人には美しい横顔が少ない」と嘆いていた。そんな藤島を満足させる数少ないモデルだった。「鉸剪眉」は中国の人形、細い眉、言葉の響きがよかったから名付けた。「台湾の女」は、台湾の中央高地に住む先住民、ツォウ族のエキゾチックな女性を、正面から描いた。
児島虎次郎は大原孫三郎の援助で留学した。大原美術館には児島が描いた「京劇の役者の絵?」がある。残念ながら状態がよくないので借りられなかった。「西湖の画舫」、風光明媚な西湖、屋形船の内側を描いた。胡弓を弾く男性、歌う妓女を描いている。安井曾太郎の「金蓉」、宗得三郎の描いた「中国服を着た女」と同じモデル。小田切峯子、父親が外交官、上海総領事だった。金蓉は峯子の中国風のニックネーム。細川護立が発注して描かせたもの。安井は最初は写実的に描き、それを横に置いて修正しながら描いていった。背景は中国服の紺色とのバランスで灰色にした。裾の辺りに色があり、安井の代表作。
三岸好太郎の唯一の海外渡航が、1926年秋の上海旅行。「支那の少女」は滞在中の10月に描かれた。後の重要な題材であるサーカスと上海で出会っています。恩地孝四郎は、日本版画協会から選ばれて、中国中部へ出かけました。上海や南京、漢口などにおもむき、長江流域をめぐります。「白堊(蘇州所見)」は帰国後の翌年に制作されたもの。幾何学的に構成された白い空間に、青いチャイナドレスの後ろ姿が象徴的に浮かび上がっている。
描かれたチャイナドレス
第4室 印象派
第5室 印象派とポスト印象派
「描かれたチャイナドレス―藤島武二から梅原龍三郎まで」
中国は、古代から近世にいたるまで、つねに日本をリードしてきたアジアの先進国でした。その日本は、明治維新以降、ヨーロッパに目を向け始めます。しかしそれでもなお、日本人の心から中国への憧憬や愛着をぬぐい去ることはできませんでした。大正時代、日本で中国趣味がわきおこります。芥川龍之介や谷崎潤一郎らが中国をテーマにした小説を次々に発表します。同じように、美術でも中国ブームがあらわれました。油彩画の世界では、藤島武二が中国服を着た女性像を描き始めます。ツーリズムの発達によって渡航しやすくなったことから、児島虎次郎や三岸好太郎、藤田嗣治、梅原龍三郎らは、中国を実際に訪れて題材を見つけました。一方、興味深いことに、藤島や岸田劉生、安井曾太郎らは、日本にいて、日本女性に中国服を着せて描きます。そこには、ヨーロッパから学んだ油彩技法を用いて、日本人が描くべき題材を求め、東西文化の融合をめざした到達点の一つを見ることができます。このテーマ展示は、1910年代から40年代にかけて日本人洋画家が描いた中国服の女性像約30点で構成されます。成熟していく日本洋画の展開をお楽しみください。
注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
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