今回は三重県多気町から、高校生レストランの仕掛人・岸川政之さん(多気町まちの宝創造特命監)が来京くださり、話してくれます。高校生レストラン「まごの店」はご存知ですね。先日、Iさん(カメラマン)と相可高校調理クラブに撮影に行きました。高校生たちのハツラツぶりと、しっかりした調理技能、さらにオリジナリティに感嘆しました。そんな高校生たちのサポートをしてきた岸川さんは、さらに高校生の発案による化粧品開発・販売や、町に自転車サーキットをつくるなど、まちと人の活性化に尽力しています。その発想やまちの宝創造の秘訣などを語っていただきます。全国から「まちの宝発掘・創造」の講演に引っ張りだこの岸川さんの話、ぜひお聞きください。
テーマ:まちの宝を探し出せ
日時:5月29日(木)午後7時~
会場:(いつものS邸)
以上のようなメールが幹事役のMさんから届きました。
岸川政之:略歴
昭和32年8月15日うまれ、56歳。
履歴: 昭和48年3月31日 三重県立伊勢高等学校卒業
昭和57年3月31日 京都産業大学経営学科卒業
昭和57年4月 1日 多気町役場就職
平成23年4月 1日 多気町まちの宝創造特命監
総務省「地域人材ネット」登録
平成25年4月11日 ふるさとづくり有識者会議委員
(全国23名の委員からなる安倍総理主催の委員会)(2年程度)
平成25年7月24日 三重県文化審議会委員(2年任期)
著書: 「高校生レストランの奇跡」(伊勢新聞社)
まごの店は平成14年10月26日、五桂池ふるさと村「おばあちゃんの店(農産物直営施設)」の食材を利用した、相可高校食物調理科生徒が運営する調理実習施設としてオープンしました。この実習施設は相可高校・ふるさと村・多気町(産・官・学)が協働して実現したもので、開店以来“生徒たちのきびきびとした元気な姿”や“美味しいうどん”などが話題を呼び、ふるさと村への入場者数の増加とともに「おばあちゃんの店」の売り上げアップなど波及効果も大きく、地域の活性化につながっていきました。
以下、岸川さんのお話(要旨)
いただいた資料はたくさんありますが、ここでは岸川さんの話のみを以下に載せておきます。
大学を出て、町へ帰って、何もないことにがく然とした。
当時の人口は1万人、今は1万6千人。
行政マンとして、誇りを持てなかった。
自分は一度も団体の代表にはなっていません。
すべて人にやってもらった。目立ちたくなかった。
いろんな人が輝き始めた。
応援団として、頑張れと言っていました。
40になって少し光があたって、出ていくようになりました。
田舎の行政マンは「なんでも屋」、反論はできない。
高校生が店を持つことなど、考えられなかった。
ある県ではできません、前例がない、
高校生が商売をするなんてありえない、と。
私は出世とかは興味がない。
好きなことをやってきました。
農業、林業の高校、補助金をたくさんもらっていた。
会計検査のため1ヶ月くらい残業します。なんかおかしい。
家は農業ではないが、友人に農業は多かった。
地元の農業を活性化できるか?
農業の「業」、ほとんどが兼業農家、
サラリーをつぎ込んで、なんとか成り立っている。
これって農業なのか?
皆さんが作る作物にスポットが当たるようにイベントをしました。
「料理ライブショー」をやった。楽しかった。
午前中は、特産の「伊勢イモ」を使った「とろろ麺」。
「相可(おうか)高校」、役場の近くだけど遠かった。
行政は縦割りで、管轄が違うから、高校は勉強するところ。
相可高校の高校生は、地元の材料で、30品目が出てきた。
ホテルの結婚式と見まがうほどの料理の数々。
すごい高校生と、それを指導するすごい先生がいた。
当時は誰も知らない。語った夢はほぼ達成した。
学校が出来ないこと一つはコスト管理、もう一つは接客。
生徒にとってはすべてが教材。
「先生、やりましょう」、やったら土・日がなくなるよ。
生徒のためになるから。
行政はOK、自分のホームグランドだから。
希望する自治会に手を上げてもらった。
ぜんぜん相手にしてくれない。
高校生を使って商売したくない。
「研修させてください」と頼み込んだ。
「あの子たち、すごいな」、大人が真剣になった。
平成17年2月19日 新しい相可高校食物調理科の調理研修施設「まごの店」オープン
「料理家を目指す高校生の夢を建築家を目指す高校生が形にする。それを周りの大人たちが応援する」をテーマに県内の建築科のある4つの工業高校に設計コンペをお願いし、創作料理の出せるレストランを建設した。
1ヶ月半後にオープンした。
校長に言うのを忘れてた(笑)。
校長は守りの人、定年まで守りの姿勢。
言いに行ったらOKが出た。英断でした。
前例がないと言われるんじゃないかと心配した。
残るは教育委員会。黙ってやると覚悟を決めた。
学校に迷惑はかけません、と。
フライングでスタートしました。
前夜、NHKの取材が入った。生中継もあった。
ヤフーにも流れた。ついていた。
文科省が「めざせスペシャリスト」として、認めてくれた。
県の教育委員会からはお褒めをいただいた。
平成22年5月 相可高校生産経済科生徒がプロデュースした「まごジェル」(ハンドジェル)の製造
名前は「まごころteaハンドジェル」、通称「まごジェル」。テーマは「孫のような高校生が、おじいちゃん、おばあちゃん、あるいはお父さん、お母さんへの感謝の気持ちを込めてプレゼントできるようなハンドジェル」と生徒たちが考えました。生徒たちがコンセプトからパッケージデザイン、ネーミング、入れ込む成分まですべてをプロデュースし、町内の万協製薬(株)が製品化しました。
五桂池ふるさと村「まごの店」をモデルにした連続ドラマ「高校生レストラン」が、2011年5月より日本テレビ系列で放映されました。主演は松岡昌宏さん。料理人としては一流だが教師としては未熟者の新米臨時採用教師「村木新吾」と高校生たちが、ぶつかり合いながらも料理を通じて共に成長していく姿を、「高校生レストラン」が生徒と社会を繋ぐ真の教育の場であることに気付いていく姿を、爽やかな感動とともに描きました。
「高校生レストランの奇跡」
著者:岸川政之
発行:2011年7月7日
出版社:伊勢新聞社