歌麿 幻の大作「深川の雪」、国内で見つかる 66年ぶり公開
日本経済新聞:2014年3月2日
江戸時代の浮世絵師、喜多川歌麿の晩年の肉筆画で、1948年から所在不明になっていた「深川の雪」が見つかったと、神奈川県箱根町の岡田美術館が2日、発表した。4月4日から6月30日まで同館で公開される。同館によると、「深川の雪」は「品川の月」「吉原の花」(いずれも米国の美術館所蔵)とともに、歌麿が描いた「雪月花」3部作の一つとして知られている。歌麿の最晩年にあたる1801~04年ごろに描かれたとされ、縦約2メートル、横約3メートル40センチの大作。絵の保存状態はよかったといい、東京・深川の料亭で、遊女ら27人が雪見をしたり火鉢を囲んだりする様子が色鮮やかに描かれている。
「深川の雪」は、明治時代に栃木県などで展示され、1948年に東京・銀座で一般公開されたのを最後に所在不明となっていた。同館副館長で古美術商の寺元晴一郎さんが2012年2月に国内で発見、描かれた題材や筆遣いなどから歌麿の肉筆画と判明した。寺元さんは、描かれた当時の掛け軸の状態のまま国内にとどめておきたかったといい、傷みが激しかった表装を交換し、絵の汚れを修復して公開することになった。鑑定した大和文華館(奈良市)の浅野秀剛館長は「これだけの大作をバランス良く描いている。歌麿が亡くなる前に、最高の力で手がけた作品のように思われる。歌麿画業の一つの頂点を示す作品」と話している。
〔共同〕
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