山下裕二監修「超絶技巧美術館」(美術出版社:2013年12月25日第1刷発行)を読みました。あれも凄い、これも凄い、もっともっと凄い!本の帯には「日本美術が生んだ究極の技、集結! まずは作品と出会って、『なんだこれは!』とびっくりしてください。」とあります。
「超絶技巧」という言葉、ネットで調べても普通の辞書には出てきません。ただひとつ、「デジタル大辞泉プラス」には、「超絶技巧練習曲集」が出てきます。その解説には以下のようにあります。
ハンガリー生まれの作曲家フランツ・リストのピアノ曲集(1851)。原題《Etudes d'exécution transcendante》。全12曲。極めて高度な演奏技術を要求する難曲として知られる。
僕が「超絶技巧」を初めて知ったのは、泉屋博古館での「幕末・明治の超絶技巧」展でした。そこでは主として「金工」、「自在金物」などの「超絶技巧」作品でした。そこでの金工や自在金物が気になって、その後、京都の清水三年坂美術館を訪れたりもしました。毎年のお正月には、東京国立博物館で、自在金物を観ています。先日も、大倉集古館で自在金物が何点か出ていました。
泉屋博古館分館で「幕末・明治の超絶技巧」展を観た!
清水三年坂美術館で「鍛鉄の美 鐙、鐔、自在置物」を観た!
「超絶技巧美術館」では、大胆にも「超絶技巧」の意味するところを拡大して扱っています。「時流やマーケットの動向などとはさらさら関係なく、ただひたすら修行僧のように、自らの表現を突き詰めている作家たちがいます」。読者が本書を通じて初めてその存在を知る人です。「どうぞ、まずは何の予備知識もなくその作品のビジュアルに接して、ガーン、とショックを受けてくださいますよう」と、山下裕二はいう。
岡本太郎や赤瀬川原平を例に出し、前後美術の歴史の中で、「うまくて、きれいで、ここちよい」日本画などは、ほとんど絶滅しました。私は超絶技巧を追求するそんな作家たちと出会って、その凄さを多くの人に知って欲しいと思ってきた、という。
本書は、「美術手帖」2012年10月号の特集「超絶技巧」をもとに再編集し、書籍化した物です。そのときにとりあげた作家の追加作品を収録し、また、書籍化に際して取り上げた作家もいます。
目次
はじめに
PART1 鑑賞編
現代作家たちの「超絶技巧」。
予備知識なしで、まずは作品を味わおう。
池田学、安藤正子、山口英紀、会田誠、
井上雄彦、アイアン澤田、前原冬樹、青木克世、
PART2 技巧編
超絶作品が生まれる制作現場を公開!
神技テクニックに迫る。
田嶋徹、前原冬樹、山口英紀、アイアン澤田、
「雲龍案」北村辰夫
東京藝術大学大学院文化財保存学
アダチ版画研究所
PART3 歴史編
山下裕二さんが解説。
日本で生まれ、受け継がれる技巧の歴史。
倉本美津留さんと行く!超絶技巧の聖地巡礼
超絶技巧の絵画史
円山応挙、長沢芦雪、伊藤若冲、河鍋暁斎
狩野一信、鏑木清方、橋口五葉、高畠華宵ほか
Artist File 注目の超絶技巧作家たち
小川信治、鷲見麿、篠田教夫、山本タカト、森淳一
近藤智美、John Hathway、葉山有樹、見附正康
2014年4月19日(土)~7月13日(日)
三井記念美術館
チラシ表面
作画:山口晃
「超絶技巧!明治工芸の粋」
これぞ、明治のクールジャパン
2014年4月19日(土)~7月13日(日)
三井記念美術館
チラシ裏面
作画:山口晃