ブリヂストン美術館のホームぺージを見ていたら、「お知らせ」(2012.1.24)に、「3月31日より新修造作品を初公開します!」とありました。詳しく見ていたら、「3月31日から6月24日まで開催する「あなたに見せたい絵があります。」展 で、ブリヂストン美術館が新たに収蔵した作品、ギュスターヴ・カイユボット《ピアノを弾く若い男》と岡鹿之助《セーヌ河畔》を初公開いたします!」とありました。カイユボットといえばオルセー美術館所蔵の「床削りの人々」(1875年)が、確か数年前に日本へも来たので、印象に残っています。そういえば、2010年9月の「ヘンリー・ムア展」のときに、トゥールーズ=ロートレックの「サーカスの舞台裏」(1887年頃)が新収蔵作品として紹介されていました。
現在、ブリヂストン美術館で開催されているのは、開館60周年記念展「パリへ渡った『石橋コレクション』1962年、春」展です。
チラシには、「いまからちょうど50年前、当館の開館10年目にあたる1962(昭和37)年に、パリ国立近代美術館において初めて「石橋コレクション」を海外で紹介する展覧会(「東京石橋コレクション所蔵─コローからブラックに至るフランス絵画展」)が開催されました」とあります。続けて、日本にある西洋絵画のコレクションがまとめて海外で始めて展示される、大変な話題となったこと、このコレクションの基礎を築いた石橋正二郎というコレクターの存在は注目を集め、「石橋コレクション」は広く認知されることとなった、とあります。
以前にも書いたことのある建築の話ですが、高校の「建築計画」の教科書に載っていたのが京橋に新しく出来た「ブリヂストン本社ビル」のパースだったこと、竣工したのは昭和27年(1952)、設計したのは同郷の松田軍平、新築されたばかりの「ブリヂストンビルディング」の2階に「ブリヂストン美術館」が開館したのは1952年1月8日、ブリヂストンの創業者・石橋正二郎(1889-1976)が「世の人々の楽しみと幸福のために」自身のコレクションを公開したものであること、その「石橋正二郎邸」は松田平田設計事務所の設計により昭和11年(1936)に麻布の高台に完成したインターナショナルスタイルの建築ですが、戦後米軍に接収され、そのまま返却されずに現在は「アメリカ公使公邸」となっている、等々。
僕の展覧会通いの原点は、ブログを始めるずっと前から「ブリヂストン美術館」です。何度も「ギャラリー・トーク」にも参加して、「ブリヂストン美術館」からは、印象派からアンフォルメルまで、多くを学びました。今回出されていた作品も数点を除いて一度は観たことのある作品ばかりです。ゴーギャン(帰属)の「若い女の顔」は初めてのようです。が、しかし、何度観てもいいものはいい。これだけ質のいい作品を所蔵していること、切り口を変えるだけで、所蔵作品だけで自前の展覧会を開催されるのには驚きます。
会場では、“雨の降る”記録映画を上映していました。ジュラルミンケースに梱包して、搬送する模様も映し出されていました。まず最初に出てきたのは、カミーユ・コローの「イタリアの女」でした。僕の好きな作品の一つです。セザンヌの「帽子をかぶった自画像」や「サント=ヴィクトール山とシャトー・ノワール」は、地元フランスのメディアから絶賛されたという。下に多くの画像を載せましたが、今から見ても決して違和感がない、ブリヂストン美術館の原点となる「所蔵作品展」だったことがよくわかります。残念ながらパネル展示の作品がいくつかありました。おしむらくは、何点か行方の知れない作品があるとのこと、なんとか探し出していただきたいものです。
ブリヂストン美術館開館60周年記念
パリへ渡った「石橋コレクション」1962年、春
2012年1月7日(土)~2012年3月18日(日)
このたび石橋財団ブリヂストン美術館は、開館60周年を記念して「パリへ渡った『石橋コレクション』1962年、春展」を開催いたします。いまからちょうど50年前、当館の開館10年目にあたる1962(昭和37)年に、パリ国立近代美術館において初めて「石橋コレクション」を海外で紹介する展覧会(「東京石橋コレクション所蔵─コローからブラックに至るフランス絵画展」)が開催されました。親日家であり、かねてより「石橋コレクション」を高く評価していた当時のパリ国立近代美術館副館長ベルナール・ドリヴァルの発案により実現したこの展覧会は、日本にある西洋絵画のコレクションがまとめて海外で展示される初めての機会でもあり、大変な話題となり反響を呼びました。また同時に、このコレクションの基礎を築いた石橋正二郎というコレクターの存在は驚きとともにフランスのメディアの注目を集め、「石橋コレクション」は広く認知されることとなりました。成長を続ける当館のコレクションの、ひとつの原点とも言える同展を当時の資料とともにご紹介いたします。
「Masterpices from the Collection of the Ishibashi Foundation」
2006年4月2日初版発行
2007年2月1日3刷発行
編集:財団法人石橋財団
発行:財団法人石橋財団
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