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フェルメール・センター銀座で「フェルメール光の王国展」を観た!

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福岡伸一の「フェルメール 光の王国」(木樂舎:2011年8月1日発行)、購入したのは昨年の8月末、読み終わったのは昨年の年末でした。アマゾンの「内容紹介」には、以下のようにあります。


ヨハネス・フェルメール……17世紀オランダ美術を代表するこの画家は、現存する作品が30数点しかないこと、また窓から差し込むやわらかな光の描写、部屋の中に人物と物を配した緻密な画面設計などの独特の表現で知られ、世界でも極めて人気の高い作家の一人です。フェルメールが画布にとらえた“光のつぶだち”に魅せられた生物学者・福岡伸一が、“フェルメールの作品が所蔵されている美術館に実際におもむいてフェルメールの作品を鑑賞する”をコンセプトに、世界各地の美術館が擁する珠玉のフェルメール作品を4年をかけて巡った『翼の王国』の人気連載の美術紀行が、ついに書籍になりました。その旅先の風土を感じさせる旅情豊かな文章と写真で、あなたを「フェルメールの旅」へ誘います。


とんとん・にっき-fuku

フェルメール・センター銀座で「フェルメール光の王国展」を観てきました。チラシには、以下のようにあります。「フェルメール作と認識されている全37作品を、フェルメールが描いた当時の色彩を求め、原寸大で鮮やかに再現します。最新の印刷技術が可能にした、フェルメール絵画のだれも見たことがない展示をします」。そして「最新の印刷技術」については、「re-create」とは何か? に詳しく書かれています。


なによりもフェルメールの全作品が、セイムスケールで、間近に観られること、また写真撮影がオーケーなのですから。やはり印刷物とは、大いに違いますね。これはなかなか贅沢な、得がたいチャンスです。









福岡伸一の「フェルメール 光の王国」のポイントは、以下の箇所です。福岡は、フェルメールの作品、「天文学者」と「地理学者」、この「学者」は、当時、フェルメールの近くにいた誰かであり、この世界のありようを幾何学的に捉えようとしていた人であると考えます。天球儀や地球儀、あるいは地図やコンパスを手にして世界の成り立ちを、数学的に、幾何学の目的として求めていたもの。福岡は、それがフェルメールと同じ年で、同じ場所=デルフトで活躍していた顕微鏡発明者、アントニ・ファン・レーウェンフックであると考えます。



そして最終章「ある仮説」で、レーウェンフックとフェルメールについて、「ひょっとすると、狭いデルフトの街で、ふたりの距離は想像以上に親密だったのかもしれない」と想像を巡らします。レーウェンフックが王立協会へ送った報告、その手稿に添付された観察スケッチは、彼自身のものではなく、王立協会宛の手紙には「自分で上手に描くことはできないので、熟達の画家に依頼した」という記載を、福岡は見つけ出します。「むろん、私はこのスケッチがフェルメールの手になるものではないかと主張したいわけではない。ただ奇妙な事実についてだけ指摘しておきたいのである」と、福岡は控えめに述べています。




原寸大「フェルメールのアトリエ」



フェルメール・センター・デルフト

ヨハネス/フェルメールが、その生涯のほとんどを過ごした街・デルフト。周囲をぐるりと運河で囲まれた、特に古い警官を色濃く残すエリアに限れば、街の規模は南北に約1.5キロ、東西に1キロほどの小さな街です。街の中心・マルクト広場に立てば、フェルメールが洗礼を受けた新教会や市庁舎が優雅なたたずまいを見せます。フェルメールの両親が宿屋兼画商を営んでいたメーヘレン亭があった場所もこの一角。この旧メーヘレン亭の奥に見え隠れするのが「フェルメール・センター・デルフト」です。同じ場所には、かつてフェルメールも所属したギルド組織「聖ルカ組合」がありました。今日の「フェルメール・センター・デルフト」も、その「聖ルカ組合」の建物を模しています。内部にはフェルメールが暮らした17世紀のデルフトの風俗やデルフト派の画家たちの資料が展示されています。デルフトを訪れる観光客の中には、フェルメールの作品がないことを残念がる人もいるといいます。しかしこの町には、それを補って余りある歴史的たたずまいと「フェルメール・センター・デルフト」があることをわすれてはなりません。


「フェルメール光の王国展」
フェルメールに魅せられた者として足かけ4年にわたって世界中を旅し、彼の作品をつぶさに観てまいりました。その結果、痛切に感じたことは、フェルメール自身の旅路を、時間の軸に沿って追体験することなしには、フェルメールをほんとうに理解することはできないということでした。画家を志した20歳のころ、彼は迷っていました。自分のスタイルを見つけることができないでいたのです。やがて彼は、自分がなにをどのように描くべきかを徐々に見出していきます。静けさの中で女性がたたずみ、手紙を書き、あるいは楽器を奏ではじめます。物語のない物語が語られはじめます。いわゆる「フェルメールの部屋」の発見です。やがて彼は光の粒を自在に操ることができるようになり、時間を止めることに成功します。そして数々の傑作を生み出すのです。そのみずみずしい過程を知るために、彼の全作品を制作年順に並べて、その場を行きつ戻りつしながら鑑賞することができれば、どんなにすばらしいことでしょう。私は夢想をかたちにするひとつの方法を思いついたのです。このほど私たちはフェルメール理解へのひとつの試みとして、現存する全フェルメール作品を最新のデジタルマスタリング技術によって、彼が描いた当時の色調とテクスチャーを推測して、原寸大で、所蔵美術館と同じ額装を施して一堂に展示する場所を作ろうと考えました。それを可能としたのが、リ・クリエイト画像技術であり、それを実現したのがここ、「フェルメール・センター銀座」です。フェルメールがたどった軌跡を存分に楽しんでいただくことができるように工夫をこらしました。どうぞ自由に、ご自身のフェルメールを発見してほしいと願っています。
福岡伸一(分子生物学者/本展総合監修)

「フェルメール・センター銀座」ホームページ

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