Quantcast
Channel: とんとん・にっき
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2506

朽木ゆり子・福岡伸一の「深読みフェルメール」を読んだ!

$
0
0

とんとん・にっき-fukaferu


朽木ゆり子・福岡伸一の「深読みフェルメール」を読みました。読んだ、というより、朽木ゆり子と福岡伸一、2人のフェルメールに関する対談を聞いた、と言った方がいいでしょう。まあ、二番煎じの感は否めないですが・・・。そんな感じですから、臨場感もあって、気楽に、一気に読みました。


僕も今年に入ってから何度も見直していますが、「真珠の耳飾りの少女」(2003年、イギリス・ルクセンブルク合作)が、当然のことながら何度か2人の話の中に出てきます。スカーレット・ヨハンセンが少女のイメージにぴったりで、少女の耳にフェルメールがグッと穴を開けるシーンは痛そうだけど、印象的なシーンだったとか、あるいはフェルメールが実際に使っていたのではないかとして、「デッサン人形」や「カメラ・オブスークラ」が出てきたとか、牛にマンゴーを食べさせて黄色い尿から絵の具の原料を取ったとか。


朽木ゆり子はさすがはジャーナリストを自認するだけあって、ボストンで盗難された「合奏」がもうすぐ出て来るかもしれないという思わせぶりな話で引っ張ります。福岡伸一は、お得意のスピノザとレーウェンフックの話で煙に巻きます。フェルメールのたった2点の風景画、「デルフトの眺望」と「小路」の間にもう1点、第3の「デルフトの数軒の家の眺め」があったのではという2人の推測があったりもします。朽木の好きなフェルメールの絵は「真珠の首飾りの少女」、福岡のベスト・フェルメールは「天秤を持つ女」だと吐露しています。


「仕掛け人」として、出版業界で「ロハス」を広めた小黒一三とか、幻冬舎社長の見城徹の名が、福岡の口から出てきますが、福岡こそ「フェルメール・ブーム」下支えの仕掛け人の最たる人です。福岡が館長を務めた「フェルメール・センター銀座」で37点のフェルメール作品を「リ・クリエイト」して、年代順に並べて展示しました。フェルメール作品が数が限られているとはいえ、そうそうフェルメール作品が一堂に会して観られるということはないので、これは大ヒットでした。


私と朽木さんの共通点は、美術の専門家ではないけれど、フェルメールの強い興味を持ち、行方不明の合奏を除き、全点踏破している点。と福岡伸一が語っている箇所があります。朽木の「フェルメール全点踏破の旅」は日本の“フェルメール本”で一番売れている本と福岡が言えば、朽木も福岡の「フェルメール光の王国」はフェルメールを科学史と関連づけて見るというのは新鮮だったと応じます。



2人の略歴を・・・。

福岡伸一:

生物学者。1959年東京生まれ。京都大学卒。青山学院大学教授。著作に「静物と無生物のあいだ」「動的平衡」「フェルメール光の王国」「遺伝子はダメなあなたを愛してる」「せいめいのはなし」など。

朽木ゆり子:

ノンフィクション作家。東京生まれ。エスクァイア日本版副編集長を経て、1994年にニューヨーク移住。著作に「盗まれたフェルメール」「フェルメール全点踏破の旅」「ハウス・オブ・ヤマナカ」など。


本のカバーには、以下のようにあります。、

空前のフェルメールブームは、なぜ起きたのか――。

私たちはフェルメールに、なぜ惹かれるのか――。

その魅力と見どころのポイント、お互いの解釈、ウンチク、じゅんれいのたびの玄人楽しさ、盗まれた作品の行方などを語りつくす。全点踏破のふたりが初対談。世界一わかりやすいフェルメール論がついに登場!


ということで、この本の「目次」を以下に載せておきましょう。


まえがき(朽木ゆり子)

1 フェルメールのモデルを読む

2 フェルメールの謎を読む

3 フェルメールの技を読む

4 盗まれたフェルメールの行方を読む

5 フェルメール・フィーバーを読む

6 フェルメールの真贋を読む

7 フェルメールの旅

あとがき(福岡伸一)

主要参考文献


過去の関連記事:
朽木ゆり子・前橋重二の「フェルメール巡礼」を読んだ!
「フェルメール光の王国展」を(再び)観た!
フェルメール・センター銀座で「フェルメール光の王国展」を観た!
福岡伸一の「フェルメール 光の王国」を読んだ!
朽木ゆり子と山下裕二の対談「消えた世界的古美術商『ヤマナカ商会』」を聞いた!
朽木ゆり子の「ハウス・オブ・ヤマナカ―東洋の至宝を欧米に売った美術商―」を読んだ!
「謎解きフェルメール」を読む!

「フェルメール全点踏破の旅」を読む!


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2506

Trending Articles