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ポーラ美術館開館20周年記念展「ピカソ 青の時代を超えて」を観た!その1

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「ピカソ 青の時代を超えて」チラシ

 

ポーラ美術館開館20周年記念展「ピカソ 青の時代を超えて」を観てきました。

 

ポーラ美術館開館20周年記念展

「ピカソ 青の時代を超えて」

2022年9月17日(土)~2023年1月15日(日)

ポーラ美術館

 

展覧会について

パブロ・ピカソは20歳の頃、悲しみを抱えた貧しい人々を見つめ、青の絵具を用いて絵画にその姿を捉え、比類のない人間像を生み出しました。

画家の原点であるこの「青の時代」を超えて、実験的なキュビスムの探究、さらに円熟期から晩年に至るまで、91年の生涯を通して旺盛な制作意欲を絶やすことのなかったピカソ。その絵画は歿後から半世紀を経てなお、生きた表現の力を鮮烈に放ち続けています。

本展覧会は、国内でも屈指のピカソ・コレクションを誇るポーラ美術館とひろしま美術館が、これまで欧米の美術館の協力を得て深めてきた作品研究をもとに、制作のプロセスに焦点を当て、絵画芸術に挑んだ「描く」ピカソの作品を初期から捉えなおそうとする共同企画展です。

両館のコレクションをはじめ国内外の重要作とともに、最新の科学技術を用いた調査や研究を通して20世紀の巨匠が遺した創造の軌跡に迫ります。

 

みどころ

1. 「青の時代」を原点として、ピカソの画業を捉えなおす大規模展

ピカソがオリジナリティを初めて確立した「青の時代」を、初期の一様式としてではなく、「キュビスム」をはじめ革新的な表現を次々と生み出していった画家の原点として捉えなおします。初期から「青の時代」を超えた晩年までの画業を、国内外の選りすぐりの名作約70点によりご紹介します。

2. “巨匠”以前、二十歳のピカソ

20世紀を代表する芸術家として知られるピカソも、かつては自分なりの表現を模索する駆け出しの画家のひとりでした。若くして生と死や貧困と向き合ったピカソの絵画は、今なお私たちの心をゆさぶります。深い精神性をたたえる「青の時代」の傑作を集め、若きピカソの葛藤と格闘の軌跡をひもときます。

3. アート・ヒストリー×サイエンス 最新のピカソ研究

「青の時代」にピカソはカンヴァスの再利用(リユース)を頻繁に行っていたため、この時期の多くの絵画の下層には、異なる構図の絵画が隠されています。国内外の研究者と協働して得られた、科学的な作品研究の成果を盛り込んで、「青の時代」の絵画に隠された制作プロセスとテーマ(主題)の変容に迫ります。

 

「青の時代」を退位給する探究する―最新の科学調査から

ピカソは1901年に開催されたヴォラール画廊での展覧会では成功を収めるも、その後の「青の時代」の作品はほとんど売れることがなく、旺盛な制作意欲を満たしつつ制作活動を進めるために、一度描いたカンヴァスを再利用(リユース)して、他の構図の絵画に描きかえていきました。近年の科学調査技術の進展により、絵画の下層の状態など、人間の目では捉えられなかった制作の過程を可視化できるようになってきました。

ポーラ美術館では、これまで東京文化財研究所をはじめ、スペインのバルセロナ・ピカソ美術館、カナダのアート・ギャラリー・オブ・オンタリオ、アメリカのフィリップス・コレクション、ワシントン・ナショナル・ギャラリーの協力により、《海辺の母子像》の作品調査を進めてきました。本作品をはじめ、「青の時代」の絵画作品の光学調査が明らかにしたピカソの制作の軌跡を、本展覧会のために製作した特別な映像を通して会場で紹介します。

ピカソ作品の足取りが判明

《海辺の母子像》(図1)の表面にパリの日刊紙『ル・ジュルナル』(1902年1月18日付)の紙面の文字が見つかりました(図2、赤外線反射イメージング分光法による画像*1)。これによって本作品はパリで制作され、絵具が乾ききらないうちに新聞紙で表面を覆われてバルセロナに持ち帰られたことがわかりました。
このたびバルセロナ・ピカソ美術館とワシントン・ナショナル・ギャラリーの研究者との共同調査により、《鼻眼鏡をかけたサバルテスの肖像》(1901年、図3)の画面にも、同じ日付の新聞紙の文字が残されていることが判明し、この2点は同じ足取りをたどった作品であることがわかりました。

 

左:パブロ・ピカソ「海辺の母子像」1902年
右:「海辺の母子像」のX線の画像

 

左:パブロ・ピカソ
「鼻眼鏡をかけたサバルテスの肖像」1901年末
右:「鼻眼鏡をかけたサバルテスの肖像」
赤外線反射画像、2018年

 

展覧会の構成は、以下の通りです。

 

プロローグ 1900年の街角―バルセロナからパリへ

Ⅰ 青の時代―はじまりの絵画、塗り重ねられた軌跡

Ⅱ キュビスム―造形の探求へ

Ⅲ 古典への回帰と身体の変容

Ⅳ 南のアトリエ―超えゆく絵画

 

ここでは、プロローグ青の時代キュビスムまでを、その1とその2に分けて掲載します。

 

プロローグ 1900年の街角―バルセロナからパリへ

 

「自画像」1896年

 

「自画像」1896年

 

「科学と慈愛」1897年
 

「宿屋の前のスペインの男女」1900年

 

「通りの光景」1900年

 

Ⅰ 青の時代―はじまりの絵画、塗り重ねられた軌跡

 

「鼻眼鏡をかけたサバルテスの肖像」
1901年

 

「海辺の母子像」1902年

 

「酒場の二人の女」1902年

 

「スープ」1903年

 

Ⅱ キュビスム―造形の探求へ

 

「女の半身像(フェルナンド)」
1909年

 

「裸婦」1909年

 

「ギターのある静物」1912年

 

「葡萄の帽子の女」1913年

 

「帽子の男」1915年

 

「肘かけ椅子のベルベット帽の女と鳩」
1915~1916年

 

その1はここまで、

Ⅲ 古典への回帰と身体の変容と、Ⅳ 南のアトリエ―超えゆく絵画は、その2に掲載します。

 

「ピカソ 青の時代を超えて」展

公式図録

執筆:

アドゥアル・バジェス

レイエス・ヒメネス

今井敬子

東海林洋(ポーラ美術館学芸員)

古谷可由

森静花(ひろしま美術館学芸員)

農澤美穂子(ひろしま美術館学芸員)

 

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