諸橋近代美術館で「LOVE STORY~ダリ 5つの愛の物語~」を観てきました。観に行ったのは6月21日、「大人の休日倶楽部パス」を使った旅行の3日目でした。
展覧会のチラシには、以下のようにあります。
「恋はその始まりがいつも美しすぎる・・・」サルバドール・ダリ
サルバドール・ダリ(1904-1989)は20世紀を代表する芸術家として高く評価され、また大衆に迎合した稀有な作家ですが、一方ではその繊細な性格から御製を張っていたとも言われています。実に秘密めいた人生を歩んだダリが信じ、創造の源としたのは「愛」でした。故郷、家族、妻、冨、名声、自由――ダリは何を愛し、何に愛されたのでしょうか?ダリにまつわる「愛」というキーワードを5つのテーマで構成し、未だ知られざる人間ダリの素顔を紐解きます。
今回、目立って大きな作品が2点、出されていました。一つはチラシにもなっている「ポルト・リガドの聖母」、もう一つは「テトゥアンの大会戦」です。図録の解説には以下のようにあります。
「ポルト・リガドの聖母」:
本作品は、ダリ成熟期の作品の中で最も美しく代表的なものの一つで、ルネサンス期の画家ピエロ・デッラ・フランチェスカの「ブレラの祭壇画」から構想を得ています。聖母の姿に扮したガラの背後には祭壇が描かれ、美しいまでのバランスで分裂し空中に漂っていますが、その様子は核分裂を彷彿とさせるものです。1945年8月の原爆投下を経て、ダリは科学の驚異に目覚めます。時期を同じくしてカトリックへの信仰を深め、科学と宗教という対照的な二つの存在の融合を試みた制作活動を続けました。「核神秘主義宣言」を提唱し、ダリ自身が傾倒した古典芸術と科学、そして妻でありミューズであるガラへの神秘化した愛を表現した珠玉の一品です。
「テトゥアンの大会戦」:
ダリは、スペインの画家、まりあのフォルテューニの同名の大作に感銘し、その印象をもとに「どのようにして私の絵画における闘争が始まったのかを描いたものである。」と延べ、この作品を制作した。そのことから、作品の中央にダリ自身とガラ夫人を描き、如何に二人で戦ってきたかという構図になっている。ダリとガラの間に58の数字がみられるが、これは58才の時にこの絵が描かれたことを意味し、右下にあるサインが、ガラ・サルバドール・ダリとなっているには、ダリがガラの援助にすべての面で支えられていたからと思われる。
展覧会の構成は、以下の通りです。
Ⅰ 家族と故郷への愛
Ⅱ アヴァンギャルド愛
Ⅲ ガラへの愛
Ⅳ 古典への愛
Ⅴ 自己愛
Ⅰ 家族と故郷への愛
Ⅱ アヴァンギャルド愛
Ⅲ ガラへの愛
Ⅳ 古典への愛
Ⅴ 自己愛
諸橋近代美術館ギャラリーガイド
発行日:2000年4月1日
発行:財団法人諸橋近代美術館
編集・制作:財団法人諸橋近代美術館
「LOVE STORY~ダリ 5つの愛の物語~」
図録
発行日:2014年4月20日
企画・編集:公益財団法人諸橋近代美術館
執筆:大野方子(諸橋近代美術館学芸員)
稲田由希(諸橋近代美術館学芸員)
発行:公益財団法人諸橋近代美術館
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