三菱一号館美術館で「ルドンとその周辺―夢みる世紀末」展を観てきました。観に行ったのは1月22日の日曜日でした。
「ルドンとその周辺―夢見る世紀末」と題された今回の展覧会、ほとんど全部が岐阜県美術館の所蔵品でした。フランス象徴主義を代表する画家オディロン・ルドン(1840-1916)の作品は、現在250点を超えるというから驚きです。しかも、ルドンに影響を与えたり、後継になった画家たちの作品をあわせて収集することにより、19世紀末ヨーロッパの象徴主義美術の流れを通観できる個性的なコレクションです。
今回は岐阜県美術館が改修工事のため休館されるのを機に、所蔵品から139点を精選し、「ルドンとその周辺―夢見る世紀末」展として、日本国内を巡回することになりました。ルドンと象徴主義の12人の画家たちが、世紀末に夢見た深遠な世界を堪能することができます。浜松市美術館、美術館「えき」KYOTOを巡回し、最後に三菱一号館へ廻ってきたというわけです。
そしてもう一つ、三菱一号館美術館が新規収蔵した「グラン・ブーケ(大きな花束)」、ルドンが描いた最大級のパステル画です。110年間、フランスの城館に秘蔵されていた作品で、もちろん、本邦初公開ということになります。1897年、ロベール・ド・ドムシー男爵が、ブルゴーニュ地方のヴェズレー近郊の城館の、食堂全体の装飾をルドンに直接発注しました。ルドンの装飾画は16点が知られており、15点は1978年に取り外されドムシー城を離れますが、「グラン・ブーケ」は大食堂に残されたままだったという。カラフルで、思っていた以上に大きな作品です。
しかし2010年、当初の設置場所から外され、制作後110年目の2011年3月、パリのルドン展で初公開されました。2010年8月に、三菱一号館美術館が、この作品を所得することになりました。ドムシー男爵は、1946年にドムシー城で亡くなります。男爵のコレクションは散逸しました。しかし岐阜県美術館は、油彩の「神秘的な対話」、パステルの「スフィンクス」など、ルドンの最重要作品を所蔵していて、今回、展示されていて観ることができます。
展覧会の構成は、「第一部 ルドンの黒」、「第二部 色彩のルドン」、そして「第三部 ルドンの周辺―象徴主義の画家たち」となっています。第一部から第二部へと移るとき、カラフルな作品が次々と出現し、劇的でした。また、第三部は、ルドンに影響を与えたモローやブレスダン、ファンタン=ラトゥールやゴーギャンなどの同時代人、あるいはルドンの影響を受けたドニを始めとするナビ派など、ルドンに先駆け、後を受け継いだ画家たちの作品を観ることができます。
三菱一号館所蔵
「グラン・ブーケ(大きな花束)」
岐阜県美術館所蔵
ルドンとその周辺―夢見る世紀末
第一部 ルドンの黒
第二部 色彩のルドン
第三部 ルドンの周辺―象徴主義の画家たち
岐阜県美術館所蔵
「ルドンとその周辺―夢見る世紀末」
オディロン・ルドン(1840-1916)は、印象派を初めとする画家たちの関心が外界の情景描写に向けられていた時代に、夢の世界に無限の可能性を見出しました。本展は、世界有数のルドン・コレクションを誇る岐阜県美術館の所蔵品により、ルドンの幻想世界を概観します。ルドンに影響を与えたモローやブレスダン、ファンタン=ラトゥールやゴーギャンなどの同時代人、あるいはルドンの影響を受けたドニを始めとするナビ派など、ルドンに先駆け、後を受け継いだ画家たちを併せて概観することで、ルドンが切り開いた象徴主義の世界の広がりと奥行きを辿ります。また、本展覧会の開催に合わせ、三菱一号館美術館が新規収蔵した《グラン・ブーケ(大きな花束)》を公開いたします。ルドンが描いた最大級のパステル画でありながら、110年間フランスの城館に秘蔵されていた作品の本邦初公開となります。
※《グラン・ブーケ(大きな花束)》は作品保護のために展示期間に制限を加えております。「ルドンとその周辺-夢見る世紀末」展の会期終了後の公開は、2012年9月からを予定しています。
ルドンとその周辺―夢見る世紀末
図録
企画構成:
山本敦子(岐阜県美術館)
小山明日香(岐阜県美術館)
企画協力:岐阜県美術館
発行:中日新聞社
表紙画像は、ルドンの、
「翼のある横向きの胸像(スフィンクス)」
オディロン・ルドン
「グラン・ブーケ」
リーフレット
三菱一号館美術館
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