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泉屋博古館分館で「ちょっとパリまで ず~っとパリまで」を観た!

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泉屋博古館分館で「ちょっとパリまで ず~っとパリまで」を観てきました。副題は「渡欧日本人画家たちの逸品」とあります。観に行ったのは4月1日、目黒川のお花見をしてから、泉屋博古館分館へ観に行きました。


明治時代に住友グループの礎を築いた住友家は、実業のかたわら芸術や文化事業にも高い関心を示しました。住友家の絵画コレクション形成の経緯はメセナの精神が基盤にありました。その精神を個人レベルで発揮したのが画家への支援であり、また留学の支援でした。若くして渡欧し近代洋画の父とも呼ばれた黒田清輝や、西洋絵画の根幹であったリアリズムを移入しようとした鹿子木孟郎たちを、住友家は積極的に支援しました。


黒田や鹿子木を起点に、19世紀末から20世紀前半期にパリに留学し、帰朝後に日本の「洋画」を切り拓き、またはパリに居続けた異邦人画家として活躍した画家たちの作品が住友家に収蔵されました。また戦後に各社が独自に収集した作品も多数あります。今回の展覧会は、これらの作品をグループの文化的象徴である泉屋博古館に集めて公開するものです。


第1セクションでは、外光派のラフェル・コランに学んだ黒田清輝や、住友家の支援によってパリ留学を果たした鹿子木孟郎、印象派の巨匠ルノワールに指示した梅原龍三郎、同門の安井曾太郎など明治洋画を牽引した画家たち。第2セクションでは、エコール・ド・ボザールの一員として知られる藤田嗣治(レオナール・フジタ)やフォーヴィスムの巨匠ヴァラマンクの刺激を受けた佐伯祐三から坂本繁二郎など1920年代に日本的洋画の確立につとめた画家たち。第3セクションでは、1930年代以降第二次世界大戦間際のパリに留学し現代絵画への架け橋となった画家から、戦後の自由都市パリに行って個性を研いた画家たちの知られざる逸品をそれぞれ紹介します。

(以上、図録「ごあいさつ」による)


今回の展覧会で、比較的大きな作品が2点ありました。ひとつは鹿子木孟郎の「ノルマンディーの浜」という作品。鹿子木の二度目の滞欧中、師ローランスの別荘があったノルマンディー地方の断崖の名所イポールの浜を舞台に、漁夫一家の情景を描いた作品です。潮騒のなかで永遠に続く庶民の穏やかな営みを正当な写実表現に基づいて描ききった記念碑的代表作です。


もうひとつは坂本繁二郎の「二馬壁画」という作品。パリから帰国した坂本は、馬を描き始めます。それは、馬の毛並みが陽の光や自然の様々条件によって美しく変化することに関心を示したからだという。画面の主調色えおエメラルド・グリーンでまとめ、その配色の度合いで「物感」を出そうと試みました。単純化した色調を駆使することによって深い存在感を示すことを目指したという。この大作は住友家の依頼で制作され、麻布別邸の壁に据え付けられたという経緯をもちます。


チラシなどで目を引くのは、女性像です。和田英作の「こだま」、藤島武二の「幸ある朝」、そして山下新太郎の「読書の後」の3点です。ひっくるめて言えば「アンニュイ」な感じが漂っている女性像です。また小磯良平の「踊り子二人」、そして木下孝則の「バレリーナ」、ともに清楚で穏やかな、かつ知的な構成で、引き締まった緊張感が漂っている女性像です。木下孝則は、前田寛治らによる「一九三〇年協会」の会員でもあります。

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ひとつだけ異質な作品に見えたのが、信州木曾の職場を描いた木下義謙の「妻籠」、題材といいまるで日本画のようです。滑らかな色彩による伸びやかな艶、光と影の温和な調子、明庵のミリのない奏合に酔って、破綻のない風景画再現されていると、図録にあります。「バレリーナ」を描いた木下孝則は実兄です。


展覧会の構成は以下の通りです。


セクションⅠ:明治洋画の牽引者たち

セクションⅡ:沸騰する時代のエトランジェ、パリ豚児の群れ

セクションⅢ:クールなパリ個性を研く

         ―1930年代以降の留学、現代への架け橋として



セクションⅠ:明治洋画の牽引者たち







セクションⅡ:沸騰する時代のエトランジェ、パリ豚児の群れ





セクションⅢ:クールなパリ個性を研く

         ―1930年代以降の留学、現代への架け橋として




「ちょっとパリまで、ず~っとパリまで 渡欧日本人画家たちの逸品」

明治時代に住友グループの礎を築いた住友家は、実業のかたわら芸術や文化事業にも高い関心を示し、特に事業所にも絵画を飾ってビジネスに花を添えてきました。長年にわたってグループ各社が収集した様々な絵画作品は、しかし一般の皆様には余り知られることなく今に伝えられています。グループの文化的象徴である泉屋博古館では、昨年よりグループ各社に収蔵されている絵画作品の数々をご紹介すべく、第1回展は「花」をテーマに選んで公開いたしました。第2回目となる今展は、19世紀末から20世紀前半期にパリに留学し、帰朝後に日本の「洋画」を切り拓き、またはパリに居続け異邦人画家として活躍した画家たちをご紹介いたします。外光派のラフェル・コランに学んだ黒田清輝や、ルノワールに指示した梅原龍三郎、同僚の安井曾太郎、フォーブの巨匠ブラマンクの刺激を受けた佐伯祐三、エコール・ド・パリの一員として知られる藤田嗣治(レオナール・フジタ)などおなじみの画家たちの知られざる逸品約60点を特別公開いたします。


「泉屋博古館分館」ホームページ

pari4 特別展住友グループの企業文化力Ⅱ
「ちょっとパリまで、ず~っとパリまで 渡欧日本人画家たちの逸品」

図録

編集:野地耕一郎(泉屋博古館文館学芸課長)

発行:公益財団法人泉屋剝古館







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