1月22日から24日まで、2泊3日の「名古屋・京都旅行」に行ってきました。京都で、目的の一つだった細見美術館を目指して歩いているときに、前川國男の「京都会館」の前を通りました。
以前にも何度か観ていましたが、今回は人の気配はまったくなく、建物の中へは入ることが出来ず、また、仮囲いがしてあったりで、物々しい感じがしました。京都から帰ってなんの考えもなくブログに、前川さんのあの名作「京都会館」、詳しいことは分かりませんが、どうも解体されるようです、と書きました。帰ってから調べてみると、様々な団体から、「京都会館解体工事中止」の要望書が出ていたりで、行政との間でかなり深刻なやり取りが続いているようです。
それはそれとして、前川さんの建築はなんと「ケヤキ」が似合うんでしょう。僕の住む「世田谷区庁舎」の周りにもケヤキが植えてありますし、庁舎内のレストランの名前も「ケヤキ」です。1960年に完成した世田谷区庁舎・区民会館は前川國男の設計で、日本の庁舎建築の典型となった建築です。「京都会館」も同じく1960年の完成で、1961年完成した前川國男の代表作である「東京文化会館」の“前触れ”となった建築といわれています。実は世田谷区庁舎も老朽化に伴い建て替え問題が起こっています。
青森県弘前市には前川國男の設計した建物が8棟あります。なんと「前川國男の建物を大切にする会 」があるそうで、それだけ市民から前川建築が愛されているということが出来ます。前川建築は「公共性」をメインテーマとしています。
京都会館の「中庭」の試みは多くの人がいうほど上手く機能しているようには見えません。変な形の「別館?」が、中庭への語りかけがまったくないからでしょう。お天気の関係もあり、やや寒々しい感じがしました。「ピロティ」は第1ホールへの単なるアプローチとしてしか、機能していないように見えます。しかし、南側、ケヤキの立ち並んだ二条通側のエレベーションと、西側、疎水側のエレベーションは、それぞれの表現は異なりますが、素晴らしいと思いました。いずれにせよ、人が利用してこそ建築なので、使われなくなったら途端に廃墟になってしまいます。
以下、「前川國男:近代日本建築の源流」(「PROCESS43」より)
日本イコモス 第14小委員会
リビング・ヘリテージとしての20世紀建築 の保存・継承 に関する課題検討
http://www.japan-icomos.org/workgroup14/index.html
日本イコモス 国内委員会 から京都市 に送られた京都会館 再整備計画に関する見解(2012年9月10日 付)
http://www.japan-icomos.org/workgroup14/kyotokaikan_comment120910.pdf
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