宮城修の「ドキュメント<アメリカ世(ゆー)>の沖縄」(岩波新書:2022年3月18日第1刷発行)を読みました。
本の帯には、以下のようにあります。
沖縄返還から50年
私たちはその歴史を知らなさすぎるのではないか
占領から日本復帰へと至る「もう一つの現代史」
戦後、沖縄はアメリカの施政権下にあり「軍事植民地」状態に置かれていた。基本的人権が保障されない中で、人々は厚く巨大な壁にどのように立ち向かったのか。琉球新報の大型企画「沖縄戦後新聞」を読み解きながら、日米琉の三者の視点を盛り込み、さらに同時代を生きた三人の政治家の歩みを重ねてたどる”もう一つの現代史“。
*三人の政治家とは、屋良朝苗、瀬長亀次郎、西銘順治の三人。
日本の戦後史は、沖縄の戦後史が抜け落ちたまま語られる傾向が強い。しかし、日本の戦後史を複眼的に捉えるためには、沖縄の戦後史は欠かせない要素なのである。・・・<アメリカ世(ゆー)>の沖縄を、日本政府、米国政府、沖縄の視点からそれぞれ眺めると、これまでと異なる日本の戦後史が浮かび上がってくるだろう。本書がその一助になれば幸いである。(「はじめに」より)
沖縄が抱える最大の課題は日本の安全保障にかかわる基地問題である。基地問題とは沖縄に便軍基地が集中するために発生する事件、事故、騒音被害、環境汚染人権侵害などの諸問題を指す。<大和世>になっても日本政府が沖縄に基地の負担を押し付け、不公平を根本的に解決しない状態が続いている。
・・・沖縄に負担をしわ寄せする仕組みは「構造的沖縄差別」と呼ばれる。・・・沖縄大学元学長の故新崎盛暉は「対米従属的日米関係の矛盾を沖縄にしわ寄せすることによって、日米関係(日米同盟)を安定させる仕組み」と定義した。構造的差別は沖縄だけでは解決できない。国民一人一人が沖縄の訴えに耳を傾け関心を持ち、自分事として考えてほしい。(「おわりに」より)
目次
はじめに
凡例
序章 忘れられた島
第1章 屈辱の日(一九五二年四月二八日)
第2章 島ぐるみ闘争(一九五六年)
第3章 瀬長市長誕生(一九五六年)
第4章 宮森小ジェット機墜落(一九五九年六月三〇日)
第5章 キャラウェイ旋風(一九六三年)
第6章 佐藤首相来沖(一九六五年八月一九日)
第7章 主席公選(一九六八年一一月一〇日)
第8章 二・四ゼネスト回避(一九六九年二月四日)
第9章 コザ騒動(一九七〇年一二月二〇日)
第10章 レッド・ハット作戦(一九七一年)
第11章 通貨確認(一九七一年一〇月九日)
第12章 施政権返還(一九七二年五月一五日)
終章 民意の行方
おわりに
主要参考文献
略年表
事項索引・人名索引
宮城修:
1963年,沖縄県生まれ.87年,明治大学政治経済学部卒業.2003年,琉球大学大学院人文社会科学研究科修士課程修了.16年,同研究科博士後期課程単位取得退学.1987年,琉球新報社入社.文化部長,経済部長,社会部長,北部支社長等を経て現在,論説委員長.同社の企画「沖縄戦新聞」(2005年度新聞協会賞等受賞),「沖縄戦後新聞」を手掛ける.『戦後政治を生きて西銘順治日記』『不屈瀬長亀次郎日記』1~3部,『一条の光屋良朝苗日記』上下巻(以上,琉球新報社)の編集・解説を担当.2014年から沖縄国際大学非常勤講師.専攻は,沖縄現代史.